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『………ソクジンさんのせいじゃないですよ』
その言葉に、胸が少しだけ
少しだけ軽くなったような気がした。
ずっと、怖かった。
誰かにいつか、言われるんじゃないかと。
『私は、事情を知らないからあまり断言できないけど。
ソクジンさんは、悪くないです。
誰も、悪くない』
「……………………………あり、がとう」
こんなにも、誰かの言葉で安心したのは、いつぶりかな。
"大丈夫、大丈夫だからね。ソクジナ"
不安で眠れない夜に、そう言って僕を安心させてくれた、A。
『……………大丈夫ですよ、誰も、あなたを責めたりしない』
Aちゃんを見る度に、Aの声が蘇ってくる。
前までは、辛かった。
記憶から、何度も消そうとした。
だけど。
「………………ごめん、今だけ、こうしても、いい?」
できなかった。
ずっと、苦しかった。
『………………しょうがないですね、今だけですよ』
小さい子をあやすみたいに、規則正しく叩かれる背中。
それが、心地よくて。
涙が乾いていたあの日みたいだ。
A。
「…………………っ、Aっ………………、」
君の名前を呼ぶと、
決まって涙が出てくるんだ。
だけど、
……………今日は、少し。
乾いてる気がするよ。
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作者名:つばき。 | 作成日時:2020年5月27日 12時