君の涙が乾く頃 (ページ13)

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■ ページ13

今でも、時々鮮明に記憶がよみがえる。

あの日のことは、忘れられない。

ふと、日常の夜に溶け込んでくるから。

「ヒョン、ヌナが…………………！」

「何があった？」

「ヒョンのケーキのろうそくを、買いに行って、」

泣きじゃくるジョングガと、慰めるホソク。

「お前は悪くないよ」

「でもっ！」

「今はそんな話してる場合か？誰も悪くないんだ」

手術室のランプが消えるのを願いながら、

あの時、こう思った。

なんでよりによって、この日なんだ。

12月4日。

僕の、誕生日が、

まさか、最愛の人の命日になるなんて、

誰が思ったと思う？

「…………………っ、夢か…………」

恐怖心を抱えながら、

びくびくしながら、

あの日を待つ。

もう、誰も失いたくない。

自分のせいで。

　

誰も悪くない？

そんなことない。

他でもない僕が、

Aを死なせてしまったんだから。

「……………………Aっ、」

消えそうな声で呼んだ君の名前。

なんでかな、

サイン会に来た、あの子の顔が思い浮かんでしょうがないんだ。