【明治東亰恋伽】本と、剣と、ハイカラと。【愛され】

浪漫.28 ページ29

急いでラムネを飲んで、Aの後を追いかける。

道もわからないクセに、行動力と好奇心だけはあるらしい。

・

特徴的なリボンの後ろ姿が見えて、｢どこ行くつもりなのさ。｣｢振り回すのも大概にしてよね…｣とブツブツ言いながら近付いた。

だが、Aは中々返事を返してくれない。


どうやら、その行きたい所とやらをずっと見つめているらしい。

｢…何処行きたいのさ。｣と泉がAにあくまで素っ気なく聞くと、｢あそこ。｣と指をさした。

指をさした方向には、何件かお店なんかが連なっていて、どれに行きたいのかが分からない。


覚えている限りでは、確かあのへんは 着物屋やかんざし屋があったはず。

年相応といえば、年相応っぽい。


｢案外可愛いとこあんじゃん。｣なんて心の隅で思う。


お店の通りまで来て、Aの後ろをついていき、着いた場所。

それは、勿論。

・

・


｢…なんでこうなるの？｣

菱｢誰のせいだと思ってるわけ……。｣

泉｢あんたは一回羞恥と常識を見直した方がいいと思うね僕は。｣



それは勿論、出会茶屋。

ｽﾊﾟｰﾝｯ…と茶屋の襖を開け、｢三人です！！｣とファミレス感覚で人数を告げれば、わけも分からず布団が敷かれている部屋に連れてこられた始末。

怒られる理由がわからない。

知らなかったのだ。
そういうお店だということを。

知るわけない。
だってAは、この時代の人じゃない。









｢待って待って待って…私ホントに知らなかったの。その…出会茶屋？が、そういう店だってこと…。｣


菱｢っ…。｣


泉｢……。｣




君にそんな顔されたら、
何も言えなくなってしまうじゃないか。

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