浪漫.57 ページ12
二人に歩み寄ると、まるで”もう何処にも行かないでくれ”と言わんばかりに手首を掴まれた。
思わず苦笑をこぼす。
申し訳ない。
だって自分は、ここに居られないから。
「…泣かないで。」と言うと、「泣いてない!!」とグズグズした声が返って来る。
途端にぎゅうっと握っている手首の力が強くなった。
「…仕方ないじゃん。さっき言った通り、私はこっちの人間じゃない。」
菱「そんなのっ…そんなの分かってる!!」
泉「それでも構わない、僕達が何も言わなければ…アンタはこの時代の人間になれる!時が解決してくれる!!」
「…ずるいなぁ……帰りたくなくなっちゃうじゃん。」
泉「っじゃあ、!!」
「でも。帰るよ私は。夢が出来た。叶えたいって、みんなの事見てたらそう思えた。」
泉「っ…!」
菱「……そんなこと言われたら、何も言えないじゃないか。君は、君はいつだってそうだ。初めて会った時から、ずっと。ずっと…ずるいやつだよ…。」
唇をかみ締めて下を向く二人。
あぁ嫌だな。
そんな顔させたくて、この決断をしたわけじゃない。
二人は気づいていたのだろうか。
自分の行動は、今思い返せば所々不信な点があったと思う。
それに気づいていて、何か隠していると知って。
普段通りに接してくれていたのだろうか。
なんだかそれは、
寂しいような、
嬉しいような、
むず痒いような。
「…ねぇ、二人は応援してくれる?私の夢。」
泉「……アンタはその答えを知ってるのに。ずるいやつだね、ホント。」
菱「同感だ。まだ未熟な身の俺たちに聞くのも、本当ずるい。」
「そう言われると思った。」
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み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - ちょこれーとさん» 私ハピエン厨なくせにそこまでいくのに死ぬほどシリアスにしたい民だから、良ければ付き合ってやってください…最後は幸せにするぞ!!笑 (2019年12月12日 16時) (レス) id: 60c355a2ab (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - なんかラストに向けてが切ない… (2019年12月10日 19時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
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