浪漫.47 ページ2
・
早速入っていった藤田の背中を追いかける二人。
中の稽古場を見ようと駆け足になるが、ドンッと立ち止まっている藤田にぶつかる。
「った…」「ちょっ…藤田さん?」と不満をこぼしながら、顔を上げた。
だが、藤田の方はまるでぴくりとも反応してくれない。
そこでようやく藤田が何かを見入っていることに気づく。
あの藤田がぼぉっと立ち尽くしてしまうようなもの。
A絡みなのはすぐに分かるが、だったら尚更気になる。
2人でひょこっと藤田の影から顔を出した。
藤田の視線の先にあったもの、それは 真っ白な布の服を身にまとったAの姿。
照明の光がAを照らして、顔にかかっている薄いレースが透けて天使みたいに見える。
思わず口を小さく開けたまま見とれてしまった。
「…あれ?藤田さん。泉と菱田も…珍しい組み合わせですね。」
川「いやあれはどう考えてもお前を追いかけてきたんだろ。」
「っえ。」
藤「…娘…その格好……。」
「え?あぁ…オセロっていう海外文学の妻の服です。私音二郎さんにスカウトされちゃって。」
泉「海外文学…。」
「んふふ、どう春草?綺麗?」
菱「えっ、あっ…まぁ…うん…。」
「何そのパッとしない返事。」
川「こいつ中々センスがあってな。そうだちょっと見ていくか?少し教えただけですぐ吸収すっからもう上達し始めてんだ。」
そう言うと、川上に何か言われて早速Aは舞台上に上がった。
観客なんて居ない。
スポットライトもない。
あるのは、一人の儚い女の姿だけ。
見惚れさせるには、自分の魅力と演技力を存分に発揮する事。
「…自分の罪は、貴方に抱く愛だけです……。」
消えてしまいそうな彼女に、
体の五感全てが惹き込まれる。
.
169人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - ちょこれーとさん» 私ハピエン厨なくせにそこまでいくのに死ぬほどシリアスにしたい民だから、良ければ付き合ってやってください…最後は幸せにするぞ!!笑 (2019年12月12日 16時) (レス) id: 60c355a2ab (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - なんかラストに向けてが切ない… (2019年12月10日 19時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ