記憶を失った銀色

第１６話 ページ17

「ただいま〜」

ちょっと遅くなってしまいました
はぁ…テツの諦めの悪さはスゴい
尊敬しますよ

「兄さーん…は多分ジムか…母さんも仕事だし」

部屋でバックを置いて着替える
それから浴室でシャワーを浴びて汗を流した

「…やっぱり残りますかね…」

背中の傷を見てそう呟く
なんかテツのせいで怖がられましたし

テツ許すまじ


身体の水滴を拭って冷蔵庫からコーラを取り出した

「ｺﾞｸｯｺﾞｸｯ…ぷはーっ」

はぁ…お腹すいた

冷蔵庫のなかにあった作り置きをレンジに入れる,唐揚げとエビチリ…なんの組合わせ？

まぁ好きなモノだから,いっか

「いただきます」

サラダとか欲しいな
あーでも忙しそうだし…また今度かな


ｶﾞﾁｬﾝｯ


「あ〜疲れた…」

「おかえり,兄さん」

「…ただいま…まだ眼鏡つけてんのか,オメーフツーに視力いーだろ？」

「イメチェンですよ,度は入れてませんし」

「あー唐揚げ…」

「…」

「んな盗ったら殺すみてーな顔すんな」

…兄さんは俺と同じ銀髪でした
何故か毛先だけ黒に染めてるんですけどね

名前は【灰崎栄吾】
たしかハタチだった気がする

「まぁ家とか試合では外しますか…ていうか兄さん汗臭い,シャワー浴びてきて下さい」

「…面倒くせぇな〜お前は」

「すいませんね面倒臭くて」

「…」

なんかジッと見られてるんですけど
取り合えずイグナイトをぶちこみました

「おっとっ！っ中々いてーな」

「…なんで受け止めますかね,そこは食らいましょうよ」

「俺を誰だと思ってんだ,一応プロボクサーだぞ？」

「さりげなく唐揚げ盗ろうとしないで下さい」

皿に伸びる手を箸で捕らえる
なんなんですかねうちの兄貴様は

「てか敬語やめろよ擽ってぇ」

「だから唐揚げ」

「一個くらい良いだろ」

「ダメです」

「なら力づくだな」

「いいでしょう,あらゆる攻撃を受け止めて五倍返ししてやろう」

「お兄様に唐揚げを献上しないとどうなるか教えてやろう」


ｵﾗｰｶﾗｱｹﾞﾖｺｾﾔｼｮｰｺﾞｫ‼

ﾊﾞﾝｶｲ‼ﾃﾝｻｻﾞﾝｹﾞﾂ‼

ﾊﾞｶﾔﾛｳｾｲﾕｳﾈﾀﾓｯﾃｸﾝﾅ



「勝った」

「今日も負けた…ていうか頭いたい」

「まぁ俺様にかかればこんなもんだな」


ｶﾞﾁｬｯ


「ただい…ま…」

「あ,お袋…」

「…なに…？この惨状は…」

「ウワーンオニーチャンがイジメル〜」

「えーっと…ストリートファイト？」


下らない言い訳は虚しく散り
灰崎兄弟は夜遅くまでリビングを片付けていた

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