二十八 ページ30
吉野先生
「どうじゃ？若草りりこの様子は」
吉「学園長先生」
二人を見送り、一人で書類の確認をしていた所へ学園長先生がいらっしゃった。
手元にある書類に目をやり返す言葉を選んだが、やはり出てくる言葉は
吉「完璧と言っていいほどこの仕事をこなしています。始めてたった数時間で、めきめきと仕事を身につけていました」
だった。学園長先生は、何もおっしゃろうとはせずに、私の続きの言葉を待っていた。
吉「彼女は、自分は素人だといっていましたが、どう考えても素人とは思えません。以前も同じような仕事をしていたとはいえ、です」
言葉も書体も何もかもが若草さんのいた時代とは違うと言うのに、彼女は隣の小松田くんや、前にいる私の仕事の様子をちらちらと盗み見て、仕事の仕方をより良いやり方で盗んだのだった。
畏れ入るとはまさにこの事だ。
学「小松田くんとの関係は？」
吉「大変良好なようで、何よりです。前までの天女の前でしたら、小松田くんはいつと怯えていましたが、若草さんの前ではそんな様子はない。もう二人は友達のようです」
学「友達、か」
吉「はい。彼女は小松田くんと対等であろうとしています」
目を細め、以前の天女と小松田くんのことを思い出した。
前までの天女は頭が悪く、すぐに仕事を投げ出すようなのばかりだった。そんなのでも小松田くんの仕事の出来なさは察しがつくのだろう。あからさまに小松田くんをバカにして見下した態度を取っていた。しかし
吉「彼女は、若草さんは頭も非常に良いですから、小松田くんの技量の程はすぐに見抜いたでしょう。しかし、小松田くんのミスを気付かれないように補い、小松田くんのスキルも上げようとしていました。それは普通の人に出来ることでは無いですよ」
学「ほう、たしかに、小松田くんが誰かと笑いながら歩いているところは久しぶりに見た気がしたのう」
吉「そうだったんですね…」
学園長先生は満足そうに頷くと、部屋を出て行った。
また一人になった私は、若草さんと小松田くんがした仕事を見て、満足な気持ちになった。
ああ、私は若草さんに感謝しているのかもしれない。
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まる(プロフ) - いおらんさん» ありがとうございます！コメントとても嬉しくて励みになります！ (2019年8月2日 19時) (
レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
いおらん(プロフ) - とても話が好みで楽しく読ませてもらってます(^^)更新頑張ってください！ (2019年8月2日 12時) (レス) id: 60ac9a4c80 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 桜ノ夢さん» ありがとうございます！初めての作品なのでとても緊張しながら書いているのでとても嬉しいです。タイトルについてはこれからのストーリーをお楽しみにしていてください！ (2018年11月18日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ夢 - まるさん！この作品とても面白いですね！私、これ読んだ後、｢ふぅ〜面白かった…な…え！？何この題名！？夢主消えるの！？｣って思いましたから← (2018年11月13日 22時) (レス) id: 3556d0a5e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まる | 作成日時：2018年11月13日 21時
