二十 ページ22
「本当にありがとうございます。僕、事務の小松田秀作って言います。よろしくおねがいします。天女さま」
その人は小松田さんと言ったらしい。ぺこりと頭を下げて来た様子になんだか可愛らしさを感じたが、私を天女さまと呼んだのが気になった。
『小松田、さん。昨日の夜に門を開けて下さった方ですよね?遅かったのにすみませんでした』
小「いえいえっ、それが僕の仕事ですから」
『私も今日から事務として働くんです。よろしくお願いします』
お辞儀をすると、その人もまたお辞儀をしてくれた。これ二人でペコペコしてんの馬鹿みたいにだろ。
『あの、小松田さん?』
小「はい」
『私、天女でも何でもないので、出来れば、いえ、お願いですので、天女とは呼ばないでほしいです』
小「えぇっ?」
予想外の出来事に、小松田さんは動揺した。
小「じゃあ、何てお呼びすればいいんですか?」
『苗字でも名前でも、呼びやすいように呼んでください。でも、天女さま、なんて呼んだら嫌ですよ?』
小「う〜ん…じゃ、りりこちゃんって呼びますね!」
『ありがとうございます。じゃあ、私、着替えますので。また仕事する時会いましょう』
まだ小松田さんの警戒心は完全に無くなっていないけれど、私は満足だった。
小松田さんと別れて、自分の部屋に戻った。
昨夜教えてもらった通りに忍び装束を着て髪をとかし、手持ちのコンパクトで自分の顔を見た。
『やっぱり若いなぁ』
27歳の私は、リップを塗らないと顔に色が無く生気も感じられなかったけれど、17歳は流石に若い。何も塗らなくても唇は健康的な赤で、痩せているけどやつれてはいない。若々しい。
メイクも髪もアクセサリーも、何もしないことがこんなに清楚で上品に見えるなんて。
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まる(プロフ) - いおらんさん» ありがとうございます!コメントとても嬉しくて励みになります! (2019年8月2日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
いおらん(プロフ) - とても話が好みで楽しく読ませてもらってます(^^)更新頑張ってください! (2019年8月2日 12時) (レス) id: 60ac9a4c80 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 桜ノ夢さん» ありがとうございます!初めての作品なのでとても緊張しながら書いているのでとても嬉しいです。タイトルについてはこれからのストーリーをお楽しみにしていてください! (2018年11月18日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ夢 - まるさん!この作品とても面白いですね!私、これ読んだ後、「ふぅ〜面白かった…な…え!?何この題名!?夢主消えるの!?」って思いましたから← (2018年11月13日 22時) (レス) id: 3556d0a5e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まる | 作成日時:2018年11月13日 21時