十六 ページ18
行ったか…
完全に気配が消えたのを確認し、私は天井をふっと見上げた。
機密性もクソも無いとか。
丁度襖を開けて入ってきた山本先生は、あら、と一言だけ何かに反応した。しかしすぐに何ともないように私に話しかけた。
シ「お待たせしてごめんなさいね。一応選んできてみたけど」
『ありがとうございます』
シ「どれがいいかしら」
広げて見せてもらった着物は、シンプルで素敵な物からゴテゴテとして悪趣味な物まであって、以前ここに居た女たちを私は心の中で軽蔑してしまった。
『この、右から二番目の物と、そのまた一つ右隣の物が好みです』
シ「やっぱり?」
『とても上品な感じがして好きです』
シ「でもあなたの年頃だったら、もう少し明るい色の方が良いんじゃない?」
そっか、今私は17歳の少女だったのだ。
27歳の感性のままだとだめだった。
山本先生は、私に明るく綺麗な色の着物をすすめてくれた。私もそれを気に入った。
『ありがとうございます。誰かに見立てて貰うことが滅多に無かったので、とても嬉しいです』
シ「それは良かったわ。じゃあこれはあなたに貸すから、出かける事があれば着てね。あと、忍び装束の着方はわかる?」
『分かりません』
山本先生に着方を教えてもらい、覚えた。一度聞いたことは忘れないので、すぐに覚えられてホッとした。
シ「今なら生徒用の風呂が開いているから、入るといいわ。本当はくノ一教室の風呂を使わせるべきなんだけど、あいにくもうお湯を抜いてしまったようなの」
『わかりました。風呂場は何処でしょうか』
ざっと説明してもらい、道を覚えた。
山本先生が部屋から出て行く前に、もう一度お礼とおやすみなさいを言った。
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まる(プロフ) - いおらんさん» ありがとうございます!コメントとても嬉しくて励みになります! (2019年8月2日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
いおらん(プロフ) - とても話が好みで楽しく読ませてもらってます(^^)更新頑張ってください! (2019年8月2日 12時) (レス) id: 60ac9a4c80 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 桜ノ夢さん» ありがとうございます!初めての作品なのでとても緊張しながら書いているのでとても嬉しいです。タイトルについてはこれからのストーリーをお楽しみにしていてください! (2018年11月18日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ夢 - まるさん!この作品とても面白いですね!私、これ読んだ後、「ふぅ〜面白かった…な…え!?何この題名!?夢主消えるの!?」って思いましたから← (2018年11月13日 22時) (レス) id: 3556d0a5e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まる | 作成日時:2018年11月13日 21時