検索窓
今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:95,286 hit

142.番外編 ページ43

太宰はAの腕を引っ張りながらどんどん進んでいく。



『太宰さん?こっちは祭りの会場じゃ……』



太宰はAの言葉に返答しない。



先程から感じるこの殺気。これは確実に太宰から出ているものだった。



そしてようやく太宰が足を止めたかと思うと、そこは人が全くいないどこかの神社だった。



『ここは……?』



太「Aちゃん」



太宰のいつもより低めの声に肩がビクッと跳ねる。



太「どうして敵である中也と一緒にいたんだい?


少し警戒心が足りないんじゃないのかな」



『中也さん、今日は休みだから何もしないって云って「中也さん?」……っ!』



太「へぇ、知らないうちにそんなに仲良くなっていたのだね君達」



『や、あの、これは、あの人がそう呼べって……』



太「お揃いのお面なんか買っちゃって。何?もしかして中也のこと好きにでもなっちゃった?」



『なっ!そんなわけないでしょう!仮にもあの人は敵ですし』



太「向こうはまんざらでもないようだったけど?



二人であんな場所で、一体何をしていたのだい?答えによっては、何をするかわからないよ?」



Aは今までに見たことのない太宰に、涙目になっている。



『太宰さんだってっ……』



太「?」



『太宰さんだって、他の女性と楽しんでいたじゃないですか。貴方に私を責める権利があると思っていますか?』



太「っ!」



『私は中也さんとは何もしていません。確かに少し楽しかったですが、あくまであの人は敵。それに私には太宰さんがいるのに、他の男性とそのようなことするはずがないじゃないですか。


まぁ、貴方は違うようですが』



Aの言葉に太宰は唖然としていた。



太「……そうかい……それが君の答えなのだね」



太宰は冷たく言い放った。



『私は貴方を信じていたのに、貴方は信じてくれないのですね。



もういいです。先に帰らせて貰います』




Aはそういうと、神社の階段を降り帰っていってしまった。

143.番外編→←141.番外編



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
115人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中島敦 , 太宰治
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

華鈴 - 初めまして!題名に惹かれてやってきました!最初から見ましてけど、内容が分かりやすくて、読みやすいです(*`д´)b OK!頑張って下さい(。-`ω´-)ぅぃ (2018年8月10日 10時) (レス) id: c313831c97 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紫陽花 | 作成日時:2018年8月9日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。