虎が残した傷痕３【文スト】 (ページ37)

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１３６．番外編ページ37

そして夕方。浴衣を着て集まった探偵社員。

敦は白が基調の虎のプリントがされている甚平。

谷崎とナオミは、黒と赤のお揃いの浴衣。

賢治は敦と同じく水色の甚平。

国木田はいたってシンプルな、松葉色の浴衣。

太宰は紺青色の浴衣に相変わらずの包帯。

Aは孔雀青の浴衣に、紫陽花の柄の入った浴衣を着て、いつも降ろしている髪はまとめていた。

国「皆集まったようだな」

賢「Aさん、その浴衣すごくお似合いですね！」

『そう？ありがとう賢治君』

Aは恋人である太宰の反応が気になり、横目で見てみると太宰は通りすがった、同じく夏祭りに行くであろう浴衣を着た女性を口説いていた。

太「なんて浴衣が似合うお嬢さんだ。そのまま私と二人、一緒に心中などいかかでしょう？」

国「こらぁ太宰！貴様は女性目当てで祭りに来たのか！」

国木田がすかさず太宰の後頭部を殴り、女性と引き剥がした。

谷「と、兎に角皆さん集まったみたいですし、そろそろ行きませんか？；」

敦「そ、そうですね；行きましょう！」

そして夏祭りの会場に向かった一同。

ナ「どうしましたのAさん？」

『あ、ううん。何でもないよ』

ナ「でもなんだか浮かない顔をなされていましたわ？」

『浴衣ちょっと暑いなって思っただけだから、気にしないで』

Aは心配してくれるナオミに微笑んだ。

『(太宰さんが浴衣を褒めてくれないって理由、恥ずかしく云えないよ……)

はぁ……』

Aは小さく皆には聞こえないよう溜息をついた。