131. ページ32
敦とAの部屋が、いつの間にかおもちゃ箱のような空間に変わっていた。
敦「!……ここは」
ル「手遅れよ。もう横浜は終わり」
敦「いや、まだ手はある!」
ル「?」
敦「太宰さんの異能力でその人形に触れれば、呪いは消滅する」
ル「アンタ莫迦なの?;ここは空の上なのよ?
どうやって人形を渡すつもりよ?」
敦は黙ってルーシィを見つめる。
ル「っ……。そう……やるのね、対空砲に撃たれて死ぬか、地面に叩きつけられて死ぬか。地上の狂った人達に引き裂かれて死ぬか、どれかしかないと判っていても、やるのね?」
敦「孤児院で呼んだ古い本にあったよ。
”昔、私は自分のしたことについて後悔したことはなかった。しなかったことについてのみ、いつも後悔を感じていた”
それに、もう僕には姉さんがついている……姉さん?」
敦がルーシィの後ろにいるAの方を見ると、Aの顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
『私が見捨てたせいで、敦が……』
Aは敦の孤児院での話しを聞いて、罪悪感で胸が押しつぶされそうだった。
敦「姉さん、もういいんだ。姉さんは悪くない……だから泣かないで」
ル「……そういうこと…………」
その時、敦とAの目の前に、巨大な人形が現れる。
その人形は、手にしていたパラシュートを敦に渡した。
敦「え?」
ル「パラシュートよ。万一逃げる時のために一つ隠しておいたの。
白いドアをモビーディックの外壁に繋いでおいたわ」
敦「いいの?僕達を逃がすと、君は組合から」
先程の巨大な人形が敦とAの背を押す。
ル「独りぼっちは最初からですもの。それにこの部屋に居る限り、私は安全よ」
扉が開かれると、下には横浜の街が見える。
『……ねぇ、君は本当に大丈夫なの?確かにこの部屋の中なら、君は無敵。でもそれって、この部屋から永遠に出られないってことじゃ?」
ル「察しの悪い人ね、ちょっとした口実よ。
……生きて。そして、いつか私をここから救い出して。
貴方たち姉弟のこと、待ってるから」
敦「……わかったっ」
『ありがとう……』
敦はAを優しく抱きかかえ、白鯨から飛び降りた。
115人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華鈴 - 初めまして!題名に惹かれてやってきました!最初から見ましてけど、内容が分かりやすくて、読みやすいです(*`д´)b OK!頑張って下さい(。-`ω´-)ぅぃ (2018年8月10日 10時) (レス) id: c313831c97 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紫陽花 | 作成日時:2018年8月9日 14時