１２４． ページ38
手紙で指定のあった場所に到着する。
しばらく歩いていくと、太宰が待っているのに気がついた。
太「ようこそ首領」
森「四年ぶりだねえ。私があげた外套はまだ使っているかい？」
太「もちろん……焼きました」
太宰の顔は警戒心で満ちていた。
首領と太宰の間に緊張感が走る。
太宰はAを見た。
『っ………』
その時＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「ポートマフィア首領、森鴎外殿」
森「武装探偵社社長、福沢諭吉殿」
お互いがゆっくりと近づく。
Aはその後ろからその二人を見ていた。
福「ついにこの時がきたな」
森「横浜の二大異能組織のトップがこうして密会していると知ったら、政府上層部は泡を吹くでしょうね」
福「単刀直入に云う。探偵社のある新人が、貴君等ポートマフィアとの同盟を具申した」
森「ほう？」
福「私は反対した。非合法組織との協同戦線など社の指針に反する。
だがそれはポートマフィアに何度も撃たれ、斬られ、拐かされた者からの提案だ。言葉の重みが違う。
故に組織の長として耳を傾けざるを得なかった」
森「お互い苦労が絶えん立場ですなあ」
福「結論を云う。同盟ならずとも、一時的な停戦を申し入れたい」
森「ふっ……シェリングを読まれたことは？」
福「？」
森「ナッシュ、キッシンジャーは？」
『いずれも戦略論の研究家です。
昔、太宰と一緒に教え込まれました』
福「孫子なら読むが」
森「国家戦争と我々のような非合法組織の抗争には共通点がある。
協定違反をした者を罰するものがいない。
停戦の約束を突然ポートマフィアが破ったら？探偵社が裏切ったら？
損するのは停戦協定を信じた方のみ。
先に裏切った方が利益を得る状況下では限定的停戦は成立しない。
あるとすれば、完全な協調だが……」
太「それもあり得ない……」
森「その通り」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 591人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫陽花
| 作成日時：2018年6月3日 22時
