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101. ページ15

視界がかわり、気がつけば天井を見上げていた。



嗚呼、中也に押し倒されたんだ。



『中也?』



中「俺の前で彼奴の名前を出すんじゃねえ、不愉快だ」



中也は珍しく本気で怒っていた。然しそれは怒りとはまた違った感情のように思えた。



『今日はいつにもまして機嫌が悪いわね


なに?もしかして嫉妬でもした?』



挑発的な笑みを向けるAに対し、中也は頬を赤く染め無言でいた。



中「……ああ、悪いかよ」



予想外の返事にAは固まる。



『え……?』



中「俺は手前の事が好きだ


餓鬼の頃から一緒にいるからじゃねえ


手前のその人格に惚れた。手前と釣り合うのは俺しかいねえ


わかったらもう俺の前であの包帯野郎の話しはするな、いいな?」



Aは中也の顔を見て驚きで固まっている。



中「〜〜〜〜〜くそっ、柄にもねえ……


今の返事、ちゃんと聞かせてもらうからな!」



出て行こうとする中也を咄嗟に呼び止める。



『待って中也』



中「な、なんだよ……」



『……好きなのは、私の人格だけなの?』



確信犯とも言える顔で中也に問う。



中「っ!


…………だああーー!全部だよ全部!!


手前の声も表情も性格も全部だよ!!」



真っ赤な顔してそういう中也に余裕そうな顔をむけるA。



『ふうん、じゃあ頑張って惚れさせてみなさいよ』



中「はっ!やってやろうじゃねえか


手前が俺なしじゃ生きていけないって言えるほど惚れさせてやるよ!」



『そう、それは大きくでたわね


楽しみにしてるわ』



中「その余裕そうな面ももうすぐ終わりだからな、覚悟しとけ」



中也はその場を去った。



中也が去った後、部屋には静けさが戻り、Aはそこでぼそっとつぶやく。



『ぎりぎりセーフ、かな……?』



Aの顔はこれまでで一番の熱を帯びていた。



『中也のくせに……ほんと生意気』



枕に顔を埋めながらつぶやくその姿は、あの鬼補佐官からは想像もつかないほど乙女であった。

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作者名:紫陽花 | 作成日時:2018年6月3日 22時

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