鬼の秘書〜番外編〜【文スト】

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太「てことで、ここで私に会ったことは中也や森さんには云わないでね。







じゃあ私は帰るから。あ、これあげるよ。余ったし」







太宰はAに線香を渡した。








『……こわ』








太「なんで！？」








『いや、感謝しますよ。丁度欲しいと思ってましたし』








太「あ、そ。じゃあ帰るよ。またね」








『出来ればあまり会いたくないです』








それだけ云うとAは太宰に背を向け中也達のところへ帰っていった。








中也と紅葉の元へ帰る途中、ふと一つの墓の前で立ち止った。








その墓は、かつての友人、織田作之助の墓だった。








その墓には、線香がささっており、花も新しく換えられていた。そしてお供え物としておかれている織田作が愛用していた煙草がおかれていた。









こんなことをするのは一人くらいしか思いつかない。きっと太宰だろう。









Aは太宰からもらった線香を一本取り出し、火をつけると太宰のつけた線香のところに一緒に置いた。









『織田作……元気にしていましたか？手紙、ちゃんと受け取りましたよ。ありがとう。







私、結婚したんです。これも、人を愛する心を教えてくれた貴方のお陰かしらね。







……私の旦那さんはね、凄く優しくて仲間思いで、誠実的で……唯一の欠点なんて身長が低いことだけだし、本当に素敵な人なの。







私、今幸せよ。これからもずっと見守っていてね、織田作』








Aがそう云い終わり、立ち上がった瞬間、後ろから突然誰かに抱きしめられた。








中「遅いと思ってきてみれば、なぁに可愛いこと云ってくれてんだお前は」








『中也、居たの』








抱きしめていたのは、旦那である中也だった。

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