虎が残した傷痕【文スト】

１５． ページ16

そして入社試験が始まり、Aと社長は、社長室からその様子を見ていた。



爆弾魔役の谷崎の足下には、偽物の爆弾と人質役のナオミ。



そして例の新人社員、中島敦が飛び出してきた。



敦「や、やややややめなさーい！


親御さんが泣いてるよ！」



『(敦……相当びびってるわね)』



谷「な、何だアンタっ」



敦「ぼぼ、僕は、さ騒ぎを聞きつけた一般市民ですっ！


いい生きていれば好いことあるよ！」



谷「誰だか知らないが無責任に云うな！


みんな死ねば良いんだ！」



敦「ぼ、僕なんか孤児で家族も友達も居なくて、この前その院さえ追い出されて、行くあても伝手もないんだ！」



『！孤児院を、追い出された……？』



谷「え……いや、それは」



敦「害獣に変身しちゃうらしくて、軍警にバレたら多分縛り首だし、とりたてて特技も長所もないし誰が見ても社会のゴミだけど


ヤケにならずに生きてるんだ！


だ、だだだから！



ね、だから、爆弾捨てて、一緒に仕事探そう」



谷「え、いや、僕は別にそういうのでは……」



敦が爆弾魔の注意を引いたところで、すかさず国木田が異能力で爆弾のリモコンを奪い、谷崎を確保した。



敦はその様子を見て、安堵の表情を浮かべた。



しかし、次の瞬間、敦は何者かの手によって押され、爆弾のスイッチを入れてしまった。



その次の瞬間、敦は思いがけない行動に出る。



爆弾に、敦が覆い被さったのだ。

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