虎が残した傷痕【文スト】

１０． ページ11

太「その一。これは身体能力、耐久力を重視した試験だ。電車で三十分の横浜市立動物園に閉園後忍び込み、新人君をヒマラヤグマの檻に投げ込む。次の朝迎えに行ったとき、ヒマラヤグマを倒すか逃げ切っていれば採用」



国「おい」



太「クマと和解していたら補欠採用」



国「おい」



太「ただしこの案は、ヒマラヤグマからすれば完全にもらい事故であり、とばっちりもいいところなので次の案。



＿＿＿こちらは思考力と問題解決を重視した案だ。金の亡者の転生体かと思うほどのケチで、おつりの額を五円間違っただけで二時間説教したと云われる六丁目の爺さんから、何やかや理由をつけて千円借りる」



国「おい」



太「そのまま一ヶ月すっとぼけ続けられたら合格」



谷「辛い！」



太「それからだねえ＿＿＿＿＿」



国「待て待て待て、お前の考えてきた案は全部が全部その調子なのか？入社試験を何だと思っているのだ」



『と云うか、あの爺様から一ヶ月も逃げ切れませんよ、心労で頭髪が死んじゃいます』



太「じゃあ今度国木田君の名義で借りてこよう」



国「絶対やめろ！」



太「あぁ、じゃあこれは？Aを一日で私より照れさせたら採用」



『絶対駄目です！というかそれ、ほぼ太宰さんが楽しんでいるだけじゃないですか！』

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