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ワイングラスに注がれる葡萄酒。
太「ふふ、君の瞳に乾杯」
そう言ってグラスに入ったワインを飲む太宰。
ありふれた臭い台詞も、太宰にかかればそれはどんな女性でも落ちてしまうだろう。
二人はワインを飲みながらしばらく夜の景色を見ていた。
太「いいところだ、穏やかで静かで……死ぬならこういったところがいいね」
『お好きにどうぞ、貴方がどこで死のうが私には関係ありませんので』
太「相変わらず私には冷たいねえ、中也には優しくするくせに」
『当然でしょう、現状貴方は組織の裏切り者ですから
仲良しこよしというわけにはいきませんよ』
そんな事を言っているが、Aは太宰とは昔から仲が良かった。
それを本人は無意識に今もそう感じているのだろう。だからこうして太宰とお酒を飲んだりすることに全く警戒することはない。
太「ふふ、君のそういう素直じゃないところも私は好きだよ」
『何を云っているのかさっぱりですね』
Aはグラスに入ったワインを一口飲む。
太「はぁ…私はいつになれば死ねるのだろうね」
『そんなに死にたいのなら、殺してあげましょうか?』
太「はは、それは素敵な提案だね。
でも、君が一緒に心中してくれればもっと素敵なのだけれど
生憎、それをすると君の恋人に殴り殺されてしまいそうだ」
太宰は冗談っぽく笑うが、太宰の瞳は悲しみに満ちているような気がしたA。
太「!A?」
Aは太宰の頭を撫でていた。
太「どうしたのだい?もしかして私と浮気する気になったのかい_____」
『無理に笑う必要はない、人間誰しも強く無いのだから』
太「!……はは、君に勝てる日は来るのだろうか」
『当分ないわね、残念だけど』
太「あぁ、そのようだ……」
二人はしばらく無言だった。しかしその沈黙はなぜか心地良く感じた。
『そろそろ部屋に戻ります、葡萄酒ごちそうさまでした。
ではまた学校で』
太「A」
『?』
太「ありがとうね」
『ふふ、おやすみなさい』
Aはその場を去った。
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ロウ - 続きが早く読みたいです! (2018年6月19日 21時) (レス) id: 15eeb3cf2b (このIDを非表示/違反報告)
ベコ(プロフ) - お願いします!続きお願いします (2018年6月18日 23時) (レス) id: 7f4e6905fd (このIDを非表示/違反報告)
ベコ(プロフ) - はやくっはやくっ続きが読みたい! (2018年6月18日 22時) (レス) id: 7f4e6905fd (このIDを非表示/違反報告)
??? - すみません。裏切りはリクエストが来てもやらない方が良いと思います。裏切りは抑キャラヘイトで違反行為ですし…… (2018年6月18日 17時) (レス) id: 9dd88625f4 (このIDを非表示/違反報告)
ベコ(プロフ) - 早く森鴎外からのお仕置きが見たいです! (2018年6月17日 22時) (レス) id: 7f4e6905fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫陽花 | 作成日時:2018年6月16日 23時