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ポートマフィアには三つの掟がある。
首領の命令には絶対に従うこと、組織を裏切らないこと、受けた攻撃は必ずそれ以上にして返すこと。
この順番はそのまま、重要度の順でもある。
そしてその日の朝、織田作が首領から呼び出しをくらった。
ここで浮かんだ単語は三つ、「用済み」と「排棄」と「人事整理」だ。
織田作は首領のいる最上階へと昇降機で昇っていった。
扉が開かれると、その先の廊下はどんなに走ってもこそりとも音のしない毛足の長いカーペットが敷かれ、RPGでも破壊できないような頑丈な壁に囲まれていた。
首領の執務室に向かう途中にはもう一つ部屋があった。恐らくそこは秘書であるAの執務室なのだろう。
首領の執務室の前に立つ黒い背広姿の見張りに名を告げる。見張りは無言で奥を指し示した。
織「首領。織田です。入ります」
森「ねえエリスちゃん、ドレス着てよう、一瞬、ちょこっと!一秒さっと着るだけ!」
……不穏な台詞が、執務室から聞こえた。
何も聞こえなかったふりをして、三秒待った。再度呼吸を整える。
織「首領。織田です。這入ります」
森「ああっ、ほらそんなに脱ぎ散らかしちゃあ駄目じゃないか。高価かったのだよ、そのスカァトは」
……再び不穏な台詞が聞こえた。織田作は少し考えた末、何も知らず偶然扉を開けてしまった間の悪い部下になることにした。
織「失礼します」
言葉と同時にフレンチ・ドアを開くと、広い執務室を二人の人間が駆け回っていた。白衣の中年男性と、十歳になるかならないか程度の幼女。
幼女は半裸で、中年男性はマフィアの首領だった。そんな二人の光景を慣れているのか、後ろでAが無表情で書類を見ていた。心なしか、いつもより表情が暗い。
エ「いやよ。絶対いや」
森「ねえお願いだよエリスちゃん、着てみて、ね?私が丹精込めて選んだのだよ。
ご覧よこの深紅のフリル!まるで花弁のようだ、絶対に似合うよ!」
エ「きれいなお洋服はいやじゃない。リンタロウの必死さがいや」
森「何時もの事じゃあないか、ほら追い詰めたぞお!」
織「首領」
織田作が声を掛けたので、二人はいっせいにこちらを見た。笑顔だ、笑顔のまま微塵も動かない。
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悠(プロフ) - リゼロの作品を作って欲しいです (2019年2月10日 13時) (レス) id: e6531a4753 (このIDを非表示/違反報告)
榊の燕(プロフ) - このシリーズ見てていつも思うんですけど夢主の設定見てると鬼徹が脳内に浮かびます。このシリーズ好きですこれからも頑張ってください (2019年2月4日 23時) (レス) id: 1bf9cce919 (このIDを非表示/違反報告)
入水系女子の朝窪(プロフ) - 黒の時代読みたいと思ってたら続編出してくださって!!嬉しいです!!無理のないように更新頑張ってください♪ (2019年2月4日 3時) (レス) id: df0fb30e51 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 続編 御目出度う御座います!此れからも頑張って下さい。応援してます!あんまり気にしたらダメだけんね?更新待っとるばい! (2019年2月3日 20時) (レス) id: e1459da1b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫陽花 | 作成日時:2019年2月3日 20時