201,虫の知らせと言う奴 ページ11
「ざわつく、虫の知らせ…と言うんだったか?」
Aがコトワザと言うものを教えてくれてから、なんとなくだが人間の言葉に興味をもった
それからアイツが眠っている間、暇があれば図書館でエーミールに本を見繕ってもらいながら言葉を学んだ。今ではそれなりに、使いこなせると思う
「嫌な感じだ」
Aが眠っている間も、何度も何度も陥った嫌な感覚。仮契約の結んでいるだけの関係なのに、あいつに何かあればあるほど、俺にも嫌な予感というものがあるらしい
たかが仮契約の関係だが、アイツはスプリングだ。イレギュラーくらい多少はあるのかもしれんな…とすませられる問題で無いことは明白だった
「それともなんだ?もう、普通に契約を交わせというお告げか?」
「なんすかグルさん、独り言は怖いんでやめてください」
神はそんな事を催促する奴でも無いが、冗談でも言っていないともどかしくてたまらない
トントンが訝しげに此方を見やるがそれどころではないのだ
ドクン、ドクンと全身を巡る血液の感覚
纏まらない思考、集中できない
なんだ?いつもなら直ぐに収まるのに
なんだというんだ?
「トントン…」
「はい?」
「吐きそう」
「ふぁっ!?」
「いや、わからないが…思考が纏まらなくて、ぐちゃぐちゃして…気持ち悪い。ぐらぐらする…アカン…幻聴が聞こえてきた」
助けて、助けて。こっちだよ、こっちだよ
苦しい、優しいあなたなら助けてくれる
お願い出して、ここから出して
死にたくなかった、生きていたかった
明日はもしかしたら、悲しみは絶えない
生きたかった
生きたかった
生きたかった
「違う、トントン。幻聴ではない」
「グルさん、しっかり!何が聞こえるんですか?!」
「死人の声だ…何故か、聞こえてくる」
「死人の声?でも、それって」
「そうだ、地獄に行った時だけ聞こえる奴だぞ、だから…おかしいんだ…」
殆ど頭が回らないからか、いつの間にか執務室に戻ってきたオスマンにも気づけなかった
「Aちゃんと、同じやなぁ」
「オスマン…」
「はいこれ。らんらんにも手伝って貰っためう、あと。ショッピ君」
ドサリと資料の束が机におかれる、元スプリングのショッピの研究成果だそうだ
「はい、研究の成果は…恐らく役にたちますよ」
「自信無さげやなぁ?」
「…死者の檻は初めて見ました、それに俺は。悪魔の干渉によってこっち側になったんで。神の干渉が起こったAさんに通じるかどうか」
彼は目を伏せて、悔しそうにしていた
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りと - 一気に全部読んでしまいました…世界観の複雑さに何度か頭を悩ませましたが、色々考察出来て楽しかったです!天使、悪魔、人間、そして神…いずれも人間という概念に縛られて自分を見失いながら生きて(?)いる…。え、これ無料で読んで良かったん…?お金払わせてェ! (5月31日 0時) (レス) @page42 id: 3c068a4e58 (このIDを非表示/違反報告)
1103(プロフ) - とても楽しく拝読させていただきました。ありがとうございます! (2022年9月23日 1時) (レス) @page42 id: d3023c1d20 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - ランキングにはのってないね!!うん!!でも続編かきたいね!!勘違いやわ!! (2020年3月9日 2時) (レス) id: 8b85c6a757 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - ありがたい事に、この話。未だランキング乗り続けているんですよね…シリーズ全体的に。いつか、続編というか、主人公ちゃんが人外になってからの話を書くのも、いいかもしれませんね (2020年3月9日 2時) (レス) id: 8b85c6a757 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - ちゃっかり新シリーズ出てますので、よろしければご贔屓に… (2019年10月6日 18時) (レス) id: da4b35a571 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜空音 | 作成日時:2018年10月12日 0時