186，あの頃のこと ページ44
「ふむ…」
そういってグルッペンは黙り込んでしまった、難しい顔をしながら如何にもな表紙の分厚い本のページを眺めては顔をしかめる。私が覗こうとすると、守秘義務だ。といいながら本を閉じられてしまう。それじゃあ仕事にならないから私はエーミールと話始めた
「エミさん、調子はどう？」
「それがなAが帰って来た日から全く発作もないねん」
「乗っ取られたり、記憶があやふやなことも無くなったの？」
「せやねん、でも。Aの婚約者やからこんなこの言うのは申し訳ないと思うんやけどな？あんなに執着しとった奴が突然消えるなんてありえへんと思うわ」
「元だよ。流石にあんなことされて未練なんて残ってないから」
そう言ったものの、彼については謎が多く残ってしまったせいで、どうにも煮え切らない気持ちがある。私の前に現れたのは旧政府に道具にされたっていう立派な理由があるけれど
もし、旧政府が元々私を狙っていたなら。彼は殺されたという可能性もあるのでは？と考えるようになってしまった。グルッペンを引きずり降ろす為だけに何年も前から？じゃあいつから？彼との婚約が決まったときから？そんなに遡るだろうか。けれど、私とグルッペンの出会いは完全に旧政府に操られたものだった
それなら、私が東京で一人暮らしする理由…婚約者の死すら操られていたのでは？と考えるのが妥当な気すらしてくる
「天界から境界をくぐって転落する、いつもの内ゲバの流れ弾が当たって…」
「あぁ、そんな事件もありましたね」
「グルッペンね、魔力足りなくなったらしくて黒猫の姿で私の前に現れたんだよ」
「黒猫ですか！それはまた可愛らしい物になったなぁ」
「あの時、黒猫を家に上げただけでこんな事になるなんて…」
「嫌なん？」
「ううん、むしろ。毎日が楽しいよ」
「なら、良かったわ」
エーミールが安心したような表情で微笑む
やっぱり彼にそっくりで混乱する、彼のことは忘れよう、そういう運命だったならそれを受け入れよう。でも、過ごした日々にだけは嘘をつかないように、彼との楽しい思い出は思い出としてしまっておこう
エーミールに彼を重ねるのは失礼だし
それで過去に彼に迷惑をかけている、それにエーミールは彼と違って、私を呼び捨てにして敬語なんて一切無くなった砕けた話し方をする
彼はもう死んだ
二度と出会うことはないし話すこともないと思うと胸がチクリと傷んだ。けれど、彼にはもう愛情が抱けなかった
私の居場所はもうここにある
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夜空音 - SAKANAさん» ありがとうございます！私情ですが最近、やるべきことが増えてしまって投稿が止まってしまいましたが。またすぐに続きを投稿するつもりです！ (2018年8月22日 23時) (
レス) id: 8c5a9de848 (このIDを非表示/違反報告)
SAKANA(プロフ) - この小説好きです、泣きました。更新されてないみたいですが待っています。どうかお願いします (2018年8月22日 2時) (レス) id: a3a9931e24 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - 変なカピバラさん» ありがとうございます！最近、誤字多いですね…すみません。頑張ります！ (2018年7月24日 22時) (レス) id: df99eb9ad9 (このIDを非表示/違反報告)
変なカピバラ(プロフ) - 控えめに言って好きです。((← あと、167で誤字が見られたので報告です。違憲→意見。お疲れのでませんように…無理せず頑張って下さいね。 (2018年7月17日 1時) (レス) id: 6e0c970f76 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - うおがめさん» ありがとうございます！誤字訂正しておきます！ (2018年7月16日 23時) (レス) id: 3aed2af562 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜空音 | 作成日時：2018年4月26日 0時
