50，薄情なんですよ ページ2
＿人間界
小雨がビニールの傘に落ちる、パラパラと音を立てて私を雨から守ってくれる
「誰が死んだん？」
「…婚約者です」
「なんでか…聞いてもええ？」
両手をあわせて目を瞑る私の代わりに先輩は傘を持ってくれていた
「実は私、いいお家柄出身なんですよ」
「なのにあんなブラック企業に勤めてたん？」
「家元に帰りたくなかったんです…私…お見合い相手がいて…最初は嫌々付き合っていたんです」
けれどいつのまにか、好きになっていた
誠実な彼の性格、わからないことを優しく教えてくれて美味しい紅茶を出してくれる彼と…語ることもなく隣に座って本を読んでる時間がただただ大好きでした
晴れた日に散歩に行けばいいのに、彼はこんな雨のふる日に情緒があるからなんていいながら
私を無理矢理外に連れ出すこともありましたよ
「大学を卒業したあと、私は就職せずに家に帰らされました…両親が好きだったのでお見合いくらいはいいかなって思って…でもそこで、彼と出会えた事に後悔はありません」
好きだった…本当にただ彼が好きだった
彼は奥手で天然なのかエスコートするために私の手を握ってはふとした瞬間に思い出したように顔を赤くして…なんだか可笑しくありませんか？
「愛してたんやな」
「愛…どうでしょう…初恋で好きが全面にきてて…愛してるって思えるほど余裕無かったのかもしれません」
彼は…暑い夏に消えました。花火を…いなくなる前日に二人で花火を見たんです
決して近くはなかった、遠いところからみる花火はすこし小さかったけれど二人で寄り添ってみるには十分でした
『また一緒にみましょうね』
って
「彼は…そう言ってれたんです…そういってくれたのに…いなくなっちゃったんですよ！酷くないですか？好きだったの…好きだったのに！」
サヨナラ…バイバイなんて言わなかったのに
「自分の足でも…探して…なのにいなかった…行方不明がとうとう…死亡扱いになったんです」
決定的な証拠は彼の部屋にあった手紙でした
遺書とはかかれていなかった
けれど彼の手紙には家への謝罪と
『一緒に花火を見れてよかった』
私への言葉のみ。詳しいことなんて何も書かれていませんでした
「手紙にすら愛してるって書けない男やったんやな。薄情もんやで」
「はい…今では…もう好きかどうかもわかりません。私も薄情です」
「…帰ろうや」
「そうですね」
雨音が響いていた
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夜空音 - 愛蘭さん» ありがとうございます。閻魔についてはモブのような扱いなので誰とは言いません。ご想像にお任せします、読んでいて楽しい方にしてください。 (2018年2月11日 23時) (
レス) id: e45f91e071 (このIDを非表示/違反報告)
愛蘭 - 感想失礼します…！世界観とか本当に好きですしんどいですよもう…ひとつ質問なんですが、閻魔樣ってもしかして赤髪のともさんだったり…?私の勝手な考えなので間違っていたらすいません;;これからも更新頑張ってください！！ (2018年2月11日 3時) (レス) id: e6a6c1647f (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - BOXさん» ありがとうございます！もう少し掘り下げていけたらと思っています (2018年2月4日 0時) (レス) id: ff9c6a4fe6 (このIDを非表示/違反報告)
BOX - 設定とかストーリーとか面白くて好きです!これからも更新楽しみにしてます!語彙力なくて申し訳ないです笑 (2018年2月3日 18時) (レス) id: b4de0e99f9 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - もちさん» ありがとうございます！休みが終わってしまったので更新ペースは落ちますがこれからも頑張ります！ (2018年1月11日 23時) (レス) id: 04cb530f88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜空音 | 作成日時：2018年1月8日 3時
