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[礼王side]
人波に逆行して歩くからなかなか彼女が掴めない。
(なんだか今の俺の心境みたいでもどかしい、、、)
痺れを切らし手を伸ばして彼女の手を掴む。
そのまま逆行して来た道を戻り、小さな石段の上にある神社まで無言で歩く。
神社の前に着くと彼女がやっと
『あのっ…礼王くん……もう大丈夫だから…』
と発した。
彼女が言わんとすることは分かってたけどダメだよ……
だって繋いだ手を離したくない……
あえて知らんぷりをして
「ねぇ、Aさん、このまま上がろう?」
とお誘いする。
『……?お願い事したいの?』
なんで神社の階段を上るのかよく分かっていない彼女を連れて一段ずつ上る。
「そろそろかな…」
(ドーンっッパッ…)
上がりきったところでちょうどタイミングよく花火が打ち上がる。
『…っうわっ〜!すごい……綺麗…』
「ここ穴場スポットなんですよ」
なんて自慢げに言うものの俺自身も来るのははじめてだ。
リサーチしておいて正解だったことは彼女のはしゃぐ横顔見れば一目瞭然だ。
『……綺麗だね』
「…………はい」
俺の瞳には花火を見つめる彼女しか見えていない。
『礼王くん…ありが……っ///』
彼女が俺にお礼を言おうと振り向いて俺の視線に気がつく。
ねぇ、Aさん。
今どんなに可愛い顔してるか自分で気がついてないでしょ…?
………俺を惑わす女の子の顔だよ?
「Aさん……俺、、、Aさんのこと好きだよ」
俺の気持ちがもっと伝わればいいと思って繋いだ手に力を込めた。
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作者名:nao | 作成日時:2021年11月19日 22時