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[礼王side]
あ〜寄り道せず、マネージャーに家まで送ってもらえばよかった……
今さらしても遅い後悔を胸にしゃがみこむ。
誰もいない夜の公園で新曲の作詞の想像を膨らましていたら突然振りだした雨。
ノートが濡れてしまう…!と慌てて片付けて帰路についたまではよかった。
「あれっ……?」
鍵がない。
どこかで落としたのだろうけど思い当たる節がない。
公園か?いやそれ以前か?
とにかく管理人さんに電話だ。
* 「上村様、申し訳ありません。
この大雨の影響で業者さんが何時頃に着くか目処が立たないようでして…
業者さんから直接上村様に折り返しご連絡がいくように手配させて頂きますのでお待ちいただけますか?」
「あ、はい。ご迷惑お掛けしてすみません!よろしくお願いします」
電話を切ったあとさらに絶望的な気持ちに襲われる。
思わずため息が漏れそうになった瞬間、カツッっと音がして誰かの気配を感じた。
ふっと顔をあげると訝しげに眉をひそめた女性と目が合った。
帽子に、メガネに、マスクに、全身びしょ濡れの男がしゃがみこんでいるこの状況で見るからに怪しいであろう俺。
「こんばんは。すみません!こんなところに座り込んでしまって」
慌てて立ち上がり一礼すると、少しホッとしたように彼女が
『いえ…どうされたんですか?』
と声をかけてくれた。
「鍵を落としてしまって…管理人さんに伝えたんですけど、この雨で対応に時間がかかるみたいで…」
大の男が鍵を落とすって………
こんなんだからメンバーにもいじられるんだよな…
『あの…カフェとかでお待ちになったらいかがですか?』
………
ごもっともすぎる返答に開いた口がふさがらない。
彼女にはマスクで見えていないだろうけど…笑
「あ……なるほど…!
業者さんが来た時に待たせてしまったら申し訳ないと思ってその考えはありませんでした笑」
俺、さっきからアホ丸出しの返答ばっかだな、、、
と我ながらに呆れる。
彼女は外の雨を一瞥したあとためらがいがちに
『あの…もしよければうちで待ちますか?』
と言ってくれた。
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作者名:nao | 作成日時:2021年11月19日 22時