三十三 ページ33
『一日一日が思い出でした。
大切な思い出でした。
主君、僕は貴女に仕えられてよかったと思っています。
貴女の側にいられて嬉しいのです。
だから、まだ、いなくならないでください！』
｢…ご……めん……ね……｣
目の前の主君は、確実に死期がすぐそこへと迫っている。
｢ふふふ…｣
『どうかなさいましたか？主君』
｢前田…がね……そんな、ふぅに……思ってて……くれてたん……だ……｣
『ええ、まだ話足りないほどに』
｢なつか…しぃな……なつか……しぃ……よぉ……｣
『…主君』
｢わた…しね……いまで……も……まぇだが………あたま………なでてくれ…ると……おちつく……の…。
今でも……あのとき…のやく…そく……おぼえてる……家族の……約束……｣
『なっそ、それは子供の頃の一種の感情と言いますか一時のものと言いますか』
｢うん……でもね……うれし…かったよ……およめさん……
きゅうに……主君…呼びに……なった……のは……少し…さみし……かった…
ねぇ……今だけ…で……いいか…ら……Aって……呼んで……｣
『っはい、A』
｢ぅん……｣
『A』
｢ぅん｣
『Aっまだ、いかないでください！
僕はAにまだ恩を返しきれてない。
いや、その恩以前にずっと一緒にいたい！
一兄や、加州さんや長谷部さんやみんなですごしたいんです！
離れたくないんです！
家族でいたいんです！！』
ポタポタと、握る手の甲に涙が落ちる。
きっと今僕は情けない顔をしているだろう。
主君、Aを困らせていることはわかっている。
Aは僕より一番生きて願っているから。
それでも何もいわないのは僕たちを想ってのこと。
わかっているのに、押さえきれない。
家族を失いたくない、大切な、大切な家族を。
｢ま……え…だぁ……｣
『はいっなんでしょうかっ』
｢わたしも……ね……まだ……いきたくない…
死にたくない……生きたいよぉ…｣
絞りでた声は、Aの本心。
痛いほど心を縛り付けられる。
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猫尾ちゃん(プロフ) - 私、前のアカウント？でもこの作品を読ませていただき、大号泣したのに、今回また読ませていただいて、また大号泣してしまいました…笑 ほんとに、とっっっても素敵な作品です！ありがとうございます！！…再会のとことか前田の怒りシーンとかもう…っ！！ (2019年4月6日 14時) (
レス) id: 757e983766 (このIDを非表示/違反報告)
とりあえずカエルで@暫くこれません(プロフ) - 月猫さん» ありがとうございます！さいごには皆ハッピーエンドむかることができましたね(*´ω｀*) (2017年2月15日 16時) (レス) id: 967cdb4cb9 (このIDを非表示/違反報告)
月猫 - とても感動しました！！！目から涙が止まりません。。。加州にも前田にも会えてよかったです(´∀｀*) (2017年2月15日 16時) (レス) id: 83d99a2662 (このIDを非表示/違反報告)
とりあえずカエルで@暫くこれません(プロフ) - エテさん» こちらこそありがとうございます。涙を流されるほどこの作品をしっかり読んでいただけたことを聞け、作者として嬉しいです。 (2017年2月13日 10時) (レス) id: 967cdb4cb9 (このIDを非表示/違反報告)
エテ - とってもいい話でした！ もう、最後の方は泣きながら読んでました。すごい感動させていただきました。ありがとうございます。 (2017年2月13日 0時) (レス) id: c4a0caabe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とりあえずカエルで x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/blackfrog/
作成日時：2016年11月3日 20時
