Silent Secret Love..... (ページ32)

今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:48,611 hit

□智ページ32

けっこう早く委員会が終わって、教室に戻ろうとした。
けど、相葉ちゃんが保健室でサボってるのを思い出して、迎えに行くことにした。

けど、保健室に相葉ちゃんの姿は見当たらなかった。

…まさか…
あいつ探しに行った…?
相葉ちゃんは、人を疑うことが大嫌いだから…

だけど、人を裏切るような奴はもっと嫌い。

だから、探しに行ったなんてことはありえない…

智「…教室、かな」

そして、今度は教室へ向かった。

けど。

智「…いない」

嫌な予感が、頭の中に浮かんでくる。

どうしようかとひとりで悩んでいると、相葉ちゃんの机の上に1枚の紙が置いてあった。

[ ダルいんでさき帰りまーす(笑) ]

智「なんだ…ビビらせないでよ…」

そうだよね…
何も心配することなんてないよ。
…うん。

まだ自分の中でもやもやが残っていたから、そう言い聞かせた。
無理やり、自分に言い聞かせた。

――― パステルカラーで彩られた絵を、黒の絵の具で塗りつぶすように。

智「…今がパステルカラーのはずなんだけどな…」

そう。
裏切り者がわかって、そいつが傍に居なくて。
こんな今が、パステルカラーのはず。
多分……きっと。

智「真っ黒なんかじゃねーっつの」

「なーにひとりで呟いてんの」

智「うぉっ、あっ、翔くん」

そこには、扉にかっこよく体重を預けてる翔くんの姿。

翔「ふふっ、また絵のこと考えてたのー?」

智「え?」

翔「パステルカラーとか真っ黒とか言ってたじゃん(笑)」

智「あぁ…うん、まぁね」

翔「ね、サボリマンは?(笑)」

智「帰ったってよ、ほら」

そう言って、相葉ちゃんからの伝言メモを翔くんの目の前に差し出した。

翔「あいつサボリすぎだろー(笑)」

智「だよねー(笑)」

「そーゆー奴ですからねー」

「「あ、にの」」

またまた、扉にかっこよく体重を預けてるにの。
ふたり揃って、かっこいい奴らだ(笑)

和也「見事にハモリましたね(笑)」

翔「急に現れるから(笑)」

智「みんな、今日は遅かったね?」

和也「まぁねー」

翔「ほぼほぼ先生の話だけどね(笑)」

和也「あ、一緒(笑)」

智「そうなんだ(笑)」

翔「そろそろ帰ろっか」

和也「そーですね」

ふたりが扉へと向かうのに続いて、俺も出ようとしたら。
ふと覗いた窓の外に…

"あいつ"の姿。

智「…」

『ねぇ見て』

そう言って、ふたりに見せたかった。
だけど、それができなかったのは。

あいつの背中が、あまりにも"あいつじゃなかった"から。