Silent Secret Love..... (ページ26)

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□潤ページ26

あのあと、Aを家に帰して。

『さき行ってて』

そうメ－ルを打ってから、もぅ一度ベッドに寝転がった。

学校行くの、ダリいし。
ってか、俺が居たらややこしいじゃん。
翔くんには見られてるわけだし。
バラすんなら、学校での方がいい。

そう思って、メ－ルした。

そして、HRが終わる時間に着こうと決めて準備し始めた。

いつも教科書やらを真面目に入れて持って行っているかばんには、

スマホ、ヘッドホン。

それだけ。

バラしたら、教室になんて戻る気ねぇし。

……戻れねぇし。

潤「…強いのか、弱いのか…」

"わかんねぇや"

その言葉を心の中で呟いて、洗面所に行った。

顔を洗って、歯を磨いて。髪をセットしようとしたとき。

鏡に映った俺の瞳には、何も映っていなかった。

真っ黒。

潤「……何も、映す必要ねぇもんな」

俺の瞳に映す必要があるほど、価値がないものなんてない。

あるとしたら…

潤「…俺、かな」

そんな自分に、"ふっ"と笑って。

家を出た。

■

途中の自販機でコ－ヒ－を買って、それをカイロ代わりにして学校へ歩いていると。

潤「もう着いた…」

いつもより、早く着いた。

潤「…こういうときだけだな」

早くバラしてハブになれって言われてるのかも(笑)

―――― なんて、思ったりして。

■

教室へ入ると、みんながいつもどおりに挨拶してくれる。

やっぱ、"いつもどおり"が一番だ。

今日、"いつもどおり"が終わるのに、
今日、"いつもどおり"が長くて。

……苦しくて。

バラすであろう翔くんに、冷たい視線を投げかけて。

―――― 視界に入ってきた、俯いているAを見ないふりしながら。

『言うんだったら言えば』
とでも言うように。

そしたら、案外早かった。
…翔くんの、決断。

翔くんに名前を呼ばれたとき、
『あぁ、終わるんだ』
なんて思ったりして。

そのあとは…

何があったかなぁ…

いろんな溢れてくるものを押し込めるのと、
演技するのとで必死で、覚えてないや。

でも、そのあとは覚えてる。

かばんも置かずに。

かばん持ってるのとは違う、片方の手を
ぶっきらぼうにズボンのポケットに突っこんで。

移動教室の奴らの波をかき分けもせずに
当り散らして一直線に歩いて。

そして、今。

屋上に居る。

はしご上って、この学校の一番高いところに寝転がって。
ヘッドホン着けて。

俺の気持ちとは反対に、澄み渡っている空を仰ぐふりをして。

静かに、涙を流した。