51 ページ10
大掃除の日をきっかけにクレアと親しくなり、クレアはAの専属メイドとなった。
専属メイドになると主君の部屋に入ることや洗濯などに許可を貰わなくてもよくなり普通のメイドよりも出来ることが格段に増える。
そのおかげでAは身の回りのことに気を遣わなくて良くなり、更に仕事に集中できるようになった。
そして仕事に並行して舞踏会に向けてのダンスのレッスンやマナー講座など、暫くAの激務は続いた。
クレアがいなかったら酷い生活になっていただろう。
そんなことを考えながらAは必死でオスマンと共に今日もダンスレッスンをしていた。
「よし、ちょっと休憩しよか。」
『…っはい…』
オスマンに渡されたタオルに顔を埋めると、柔軟剤の優しい香りが鼻を掠めて疲れた心を癒してくれる。同時に、上手く踊れない自分への虚しさも襲ってきた。
「えらい落ち込みようやなぁ。せや、ひとらんが俺に美味しいお菓子買ってきてくれててん。一緒に食べるめう〜」
そう言って彼は大きないちごが沢山乗っているいちごタルトを出した。Aは全てやらせるのは申し訳ないと感じ、せめてという気持ちで紅茶を淹れた。
いただきます、と手を合わせてタルトを口に入れる。
口にいちごの甘酸っぱい味が広がりなんとも幸せな気分になった。オスマンも頬を綻ばせて食べていた。
「…わぁ、Aちゃん紅茶淹れるのうまいな。めっちゃ美味しい。」
『そんなことありませんよ。オスマン様の方がずっと美味しく淹れられるじゃないですか。』
「照れるめう〜」
幸せなやり取りにAは思わず笑顔になった。
「おっ、その表情ええで！」
『……？表情、ですか？』
うんうんと頷くオスマンだったが、Aは何のことを言っているか分からない。自分の表情を意識していなかった。
「Aちゃんは踊る時、正確に間違えないようにしようって意識しすぎて表情がめちゃくちゃ硬いねん。ダンス大会やないんやから、もっとリラックスしてええんやで？」
『リラックスですか…分かりました。意識してやってみます。』
そう言うとオスマンさんは笑った。
「ふふっ、意識したらリラックスできてないやん！なーんも考えなくてええで。相手と音楽に身を任せる感じで。楽しいって思えたら最高やな。…よし、じゃあもう一回踊ってみよ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 182人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未雨(プロフ) - あめさん» コメントありがとうございます。番外編更新しました！是非読んでください！ (2023年4月25日 21時) (
レス) @page39 id: 490941137f (このIDを非表示/違反報告)
あめ(プロフ) - 凄く面白くてどんどん読んじゃいました！！！もし良ければhtさんとの絡みとかみたいです！！！ (2023年4月24日 19時) (レス) id: b7c8f34430 (このIDを非表示/違反報告)
未雨(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます。軍パロの中で上位…本当ですか？！他にも素晴らしい作品が沢山あるのにそう言っていただけて嬉しい限りです。これからもよろしくお願いします！ (2023年4月19日 22時) (レス) id: 490941137f (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - え、軍パロの中で上位になるくらいらぶ (2023年4月19日 0時) (レス) @page34 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
未雨(プロフ) - 紅さん» コメントありがとうございます。その言葉が励みです…これからもよろしくお願いします！ (2023年4月7日 17時) (レス) id: 490941137f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未雨 | 作成日時：2023年3月11日 9時
