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『そういえばまだ私が幹部になる前、ゾム様には信頼を置いている専属メイドがいるとよく聞いたのですが…今はいませんよね。』
まさか聞かれるとは思っていなかったのか、ゾムは少しだけ目を開いてAを見た。
少し間をおき小さな溜息をした後、Aから聞かれるであろう質問の前に自ら話し始めた。
「せやで。俺にも優秀なメイドがおった。俺が士官学校出身なのは知っとるよな？」
そう、ゾムは優秀な将校を育てるための士官学校に通っていた。しかもそこを首席で卒業したので、幹部になる前からかなり注目を集めている存在であった。
「でも卒業当初はまだ我々国が出来たばっかやったから、色々と不安定で身の回りのことをする時間なんてなかった。そん時に手伝ってくれたのがそのメイドや。」
『あぁ、我々国が独立したのは7年前ですもんね。私の家も大変だった記憶があります。』
当時は物価が大きく変動したり法がよく定まっていなかったので各地で混乱が起きた。今はそんなこともあったなぁと笑えるようになったが、当時のAは酷く疲れていた。
隣のゾムも同じようなことを思っているのであろう。当時を懐かしむように笑っていた。
「本当にありがたかってん。忙しくて何も出来ん自分の為に沢山手伝ってくれて。そん時は善意でやってくれてると思ってた。でも実際は違った。」
そして、また少し悲しい瞳になる。
「俺が心を許しすぎたのが悪かった。あいつは、俺が仕事に行っている間に部屋にあった資料を盗んで持って行った。ロボロが監視カメラで見てたから被害は出んかったけど、そいつは勿論追放された。」
『そんなことが…』
「最後にあいつに聞いたんや。俺に尽くしてくれたのは全部スパイの為だったのかって。多分少し期待してたんやろうな、そんなことないって言うのを。あいつは人が変わったみたいに残忍に笑って、俺の為に尽くしたつもりはないって言った。そこから俺は女を信用できない。」
全て言い終わり、ゾムがAの方を振り返る。
Aはゾムが何を言おうとしているのかが分かった。
「お前は、信じてもええんか？」
小さく震える声で言った彼の瞳も、声と同じく小さく震えていた。まるで何かを望むように。
Aは言葉ではなく、こちらの方がゾムが求めていると思った。
そして白い肌であるが角ばっているゾムの手を取り
指先にキスをした。
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指先へのキス 相手への尊敬と敬意
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未雨(プロフ) - あめさん» コメントありがとうございます。番外編更新しました！是非読んでください！ (2023年4月25日 21時) (
レス) @page39 id: 490941137f (このIDを非表示/違反報告)
あめ(プロフ) - 凄く面白くてどんどん読んじゃいました！！！もし良ければhtさんとの絡みとかみたいです！！！ (2023年4月24日 19時) (レス) id: b7c8f34430 (このIDを非表示/違反報告)
未雨(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます。軍パロの中で上位…本当ですか？！他にも素晴らしい作品が沢山あるのにそう言っていただけて嬉しい限りです。これからもよろしくお願いします！ (2023年4月19日 22時) (レス) id: 490941137f (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - え、軍パロの中で上位になるくらいらぶ (2023年4月19日 0時) (レス) @page34 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
未雨(プロフ) - 紅さん» コメントありがとうございます。その言葉が励みです…これからもよろしくお願いします！ (2023年4月7日 17時) (レス) id: 490941137f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未雨 | 作成日時：2023年3月11日 9時
