108.お見舞い。 ページ8
太輔の右手がコンコン、と病室のドアをノックする。
「はーい。」
中から瑠夏の声がする。
ガラガラガラガラ
「藤ヶ谷…?」
現れた太輔を見て、瑠夏が目を見開く。
そりゃ無理もない。なんでこいつが見舞いに来たって普通はなるよね。話したことすら、ないんだから。
それよりも、瑠夏が正気に見えて、私はほっとした。
私の姿も見えてないし。
「藤ヶ谷…どうしたの?」
瑠夏はちょっと怪訝そうな顔をする。
急に現れた太輔にびっくりしてるらしい。
「どうしたって、お見舞いに来たに決まってんだろ。」
「見舞いって、なんで…」
「え、俺見舞いに来ちゃ悪かった?」
「いや、別にいいけどさ…。」
あーあ、太輔のせいで瑠夏怒っちゃった。
千依の時のように、瑠夏の右足にも、痛々しくギプスがはめられ、右腕には包帯が巻かれていた。
瑠夏は千依よりも血色が良く、あんまり、病人っぽくない。
てか、この2人がずっと話さないから、めっちゃ気まずいんですけど!!!
もう、太輔早くなんか喋りなよ、
思い沈黙に息がつまり、太輔の腕を小突く振りをした。
やっと太輔が口を開いた。
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作者名:M 1 R A 7. | 作成日時:2020年6月18日 8時