93.703号室。 ページ43
「藤ヶ谷くんは、行かない方がいいかもしれない。」
そういった時に、扉がしまった。
太輔は7階のボタンを押した。
上に向かって、エレベーターが動き出す。
7階に向かうまで、無言の空間が続く。
行かない方がいいかもしれない…って、どういうこと?
エレベーターが7階に着き、千依の病室まではあっという間だった。
703号室の前で、太輔が立ち止まる。
「どうしたの?入らないの?」
「い、いや……やっぱりさ、ちょっと入りにくいじゃん?」
「何よ、太輔らしくないんだから。」
「そりゃあ俺だって気にするさ。女の人のお見舞いなんて、初めてだから。」
「あら?千依のお友達さん?」
声のした方を向くと、綺麗な女の人が、ユリが生けてある花瓶を持ってたっていた。
「どうも。俺は藤ヶ谷と言います。千依さんのクラスメートで。」
「まあ、そうなのね。さっきも、あの子のお友達がお見舞いに来てくれたのよ。嬉しいわ、千依と仲良くしてくださって。」
まぁ、ホントのことを言うと、ちっとも太輔は千依と仲良くしてないけどね。
「あ、もしかして、千依のボーイフレンド?」
「あ、いや。違います。」
「入ってあげて。ボーイフレンドが来てくれたら、千依もきっと喜ぶわ。」
「あ、あの、俺は別にボーイフレンドなんかじゃ…」
千依のお母さんの様子を見る限り、別におかしいことはなさそう。
なーんだ、美幸たちったら、心配させて。
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作者名:M 1 R A 7. | 作成日時:2020年5月23日 17時