52.ごめん。 ページ2
「大丈夫か……?」
「うん……もう平気。」
目元を拭いながら、そっと体を離す。
なんで私って、生きている間に、誰にも助けを求めなかったんだろう。
人を信じることが出来ないから?
みんなが見て見ぬふりをしていたから?
お母さんも、藤ヶ谷くんも。暖かい心を持った人はすぐそばにいたのに………
「……俺もごめんな……」
「何が?」
「Aがいじめられていた時、助けてやれなかったから……」
「……」
「俺も、対して月乃達と変わらねぇよ。目の前で誰かがいじめられても、止めることひとつ出来ない。臆病な、ただの傍観者。そうだろ?」
私は首を振った。
「藤ヶ谷くんは、一切悪くない。傍観者もいじめているのと同じとか、誰かがいじめられていたらやめさせるべきとか、そんなの、いじめの本質を知らない、自分が子供みたいにガキだったことを忘れた大人のセリフだよ。」
「…」
「藤ヶ谷くんみたいに、見て見ぬふりをしているのが1番賢い方法だって、私もよく知ってるし。もし誰かが止めてくれても、それでいじめが解決するとは思えないもん。逆に、止めた人がいじめられる可能性だって、十分にあるわけだし。」
「A……」
藤ヶ谷くんはしばらく黙り込んだあと、こういった。
「Aの言う通りだな。綺麗事じゃ、いじめは解決しねぇから。」
「うん……」
「でも、それじゃあ本当に、俺や見ているだけの人には、何も出来ないのか?Aだって、何かして欲しいこととかあったんじゃないのか?」
「それは……」
周りの人や、親に、先生に、クラスの皆に望んでいたこと。
それは____。
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作者名:M 1 R A 7. | 作成日時:2020年5月23日 17時