46.過去�� ※ ページ46
「………何がしたいの？」
「これさ、取り返したい？」
「当たり前じゃないの。弥子とおそろいなんだから。」
弥子と、去年の夏に、このお揃いのクマのあみぐるみを買った。
友情の証だねって、無邪気に笑って。
「返して欲しければ、ゆうこと聞きなよ。」
「何すんのよ……。」
「うーんと、じゃあ…まずは、床舐めてもらおっか。」
弥子達がサッと青ざめた。
「は？ガチで言ってんの？」
「もちろん。返して欲しいんでしょ？あ、もうまさかいらないとか!?笑」
「それは……」
「ふーん、じゃあ返して欲しいなら早くなめなよ。」
「………」
いくら掃除されたばっかだとはいえ、所詮トイレの床。
ゴキ〇リがこの床を這っていたかもしれない。
想像するだけで、吐き気がして来る。
そんな私を小馬鹿にするように、咲良子は笑う。
「じゃあ、床が嫌なら、便器でもいいよ。」
「……」
今すぐにあの横っ面を張り倒して、いっその事地中深くのマントルまで埋め込みたくなる気分だった。
どうせ、私に勝ち目はない。リンチに遭うだけ。
「ねぇ、私が優しいから選ばせてあげようとしてるんだけどさ。早く選べよな。」
「……」
「黙ってるんだったら、あんたの顔、便器に突っ込むよ？」
「……床。」
「ふーん、床にするんだ。わかった。じゃあさっさと舐めろよ。いつまで突っ立ってるんだよ。うちあと1時間で塾なんだけど。」
「………」
「いいからさっさとやれって言ってんだよ!!!」
再び突き放され、私はトイレの床に肘と膝を強く打った。
私の体にのしかかるようにして、頭を押さえつけてきた。
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作者名：M 1 R A 7. | 作成日時：2020年5月8日 0時
