星の私とあなたの49日 (ページ22)

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22.藤ヶ谷くん…？ページ22

数メートル向こう側に、藤ヶ谷くんが立っていた。

昨日もずっと私を見つめていた藤ヶ谷くん。

A、と私の名前を呼んだ、あの藤ヶ谷くんが。

今も、無表情で見えるはずのない私をじっと見ている。

私は慌てて目をそらす。思い違いだ、あんなの錯覚だ。

私の向こう側にいる人を見てるに決まってる。

多分昨日だって、間違って私の名前出しただけ…だよね？

目を逸らした私の元に藤ヶ谷くんがゆっくりと近づいてくる。

幽霊の私をじっと見つめながら。

逃げ出そうにも逃げ出せず、私は長いまつ毛を持った藤ヶ谷くんの目に動きを封じ込められてしまったように、

ただ呆然と立ち尽くしていた。

だんだん近づいて、私たちの距離1メートルぐらいになった時に藤ヶ谷くんは足を止めた。

口元が小さく動いた。

「A」

…！

今のは聞き間違いなんかじゃない。

確かに私の名前を呼んだ。幽霊の私に向かって。

藤ヶ谷くんは顔色ひとつ変えずに続けて、

「お前さ、こんなとこでなにしてんの……？」

「………ッ」

声にならない声が出た。

生きている私に言うように。

喪服や制服に身を包んだ人達の群れの中。

私と藤ヶ谷くんは、

再び出会ってしまった……………。