星の私とあなたの49日 (ページ15)

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15.藤ヶ谷くん…… ページ15

どうして、どうして誰も見つけてくれないの…

なんでパパもママも怒って学校に駆け込まないのよ!?

これじゃあ、私が死んだ意味がないじゃない…

虚しさが押し寄せてきて、呆然と立ち尽くすあたしの名前を誰かが呼んだ。

「A」

え………誰…？

振り返ると向こう側の路地。同じクラスだった藤ヶ谷くんが、じっとこっちを見つめていた。

いつも通り、真顔で。

藤ヶ谷くんは、運動神経もいい、顔も整いすぎてかっこいい。頭もそこそこいい…らしい。

けど、誰ともつるまない。

男子とも、女子とも。いじめられてたわけじゃないけど、クラス内の全ての人間と距離を置いているようだった。

休み時間の度に「クラスの女子の中で1番胸がでかいランキング」なんかで盛り上がっている、精神年齢小5の二階堂くん達のグループとは違って、高2らしい、大人っぽい魅力があって、

2年になって、同じクラスになれて嬉しいと思っていた女子も少なくなかった。
そういう女子が、LINEを聞いたり、あそぼー、と着いてくる女子に向かって、

『俺は人間に興味が無いんだ。お前らとか特にウザイからさっさと俺の視界から消えてくれ。』

この言葉はさすがにないなと思った。

その一言で、女子は揃って幻滅した。

いくら完璧でも、性格がこんな感じじゃねぇ……

てか、なんで私を見つめて、私の名前を呼んだんだろう。

どうして、私がここにいるのかが分かるの

幽霊だから誰にも見えないはずなのに……

そのまま、多分数秒ぐらい、私たちは3m程の間隔を挟んで見つめあっていた。

藤ヶ谷くんはしばらくすると、踵を返して歩き出した。

後に残され、立ち尽くす私を多くの人がすり抜けていく。

なんだったんだろう……今、確かに言ったよね？

見てたよね？

……いや、まさか……ね、

私は疑惑を残したまま葬儀場を後にした。