日常を、あなたと (ページ37)

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✳︎✳︎✳︎ Ren ページ37

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…恋愛って、面倒なものと思ってた

誰かのために時間を作って、お金を使って

一番にしなければならなくて、

一番にならなければいけなくて。

気の合う友達だっているし、

やりたいこともやらなければいけないことも

沢山ある俺はまだ、

自分が、自分にとって一番でいたかった

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大学1、2年をそんな感じで過ごして、

あっという間に3年生。

新しく履修した講義で

いつも俺の、4列前に座っている子

講義が終わったあと、ふと視線を移すと

その子が座っていた机の中に

ノートとペンケースが忘れられているのに気づいた

さっき席を立っていたし、

追いかければまだ間に合うな

この後時間も空いているし、届けてあげよう

良心で体が動き

一人で歩く彼女に後ろから声をかけた

蓮「あの、」

「…はい？」

…初めて聞いた、彼女の声

蓮「これ、忘れとったよ、机の中」

「えっ…やだ、ごめんなさい、

わざわざありがとう…、」

ペコペコと俺にお辞儀を繰り返す彼女

蓮「よかった、じゃあ…」

「ありがとう、川尻くん」

…名前を呼ばれた時は、正直びっくりした

蓮「俺のこと知っとると？」

「ダンスサークル、だよね？

私、バスケのマネなんだ！

ほらいつも向かいの体育館でやってる、」

蓮「ああ！そうなんや、知らんかった…

じゃあまた声かけるね！」

「Aって言います、

今日は本当にありがとう、助かりました」

笑顔で去っていく彼女

この出来事がきっかけで、

講義の前に、目が合えばおはよ〜とあいさつを交わし、

サークルがある日には、

自然と視線は

向かいの体育館にいる彼女の姿を追っていた

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蓮「好きなんよ、俺、…Aちゃんのこと」

Aちゃんと話すようになって、割とすぐのこと

俺は初めて自分から、女の子に告白をした

Aちゃんを、俺の一番にしてあげたいと思ったから

俺が、Aちゃんの一番になりたいから

…大切にしたいから。

「私も、好き。

…忘れ物した日より、ずっと前から」

また俺は、彼女に驚かされた

蓮「…嬉しい。

初めてなんよ、たぶん」

なにが？という彼女を、

蓮「大事にしたいと思ったのが、初めて」

そう言って、抱きしめた。

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