日常を、あなたと (ページ11)

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✳︎ Shion ページ11

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夕飯の用意に取り掛かろうと冷蔵庫を開けると

ガチャ、と玄関のドアが開く音

いつもならリビングに入ってきて

汐「ただいま〜A〜腹減った〜〜」

「おかえり、先に手洗ってきてね」

って言葉を交わす

けど、今日は

洗面所から手を洗う水の音と

バタン、と寝室のドアが閉まる音

…そのまま部屋に直行した…？

ただいまも言わずに寝室に行くなんてこと今までなかった

あれ、今朝喧嘩でもしたっけ？

いやしてないな…

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「汐恩〜？」

寝室の外から声をかけてドアを開けると

汐「入って来んで」

、え？

「なん、…汐「いいから」

そんな急に突き放さなくても

私汐恩に何かしちゃった？

「ごめん、汐恩私何かしちゃった？」

汐「…ちゃう、」

布団に潜り込んで一切こちらを見ず

掠れた声で喋る汐恩

…今は、だめだ

何話しかけても

少し一人にさせてあげよう

理由が分からなくて悲しいし寂しい、何だか泣きそうだけど

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汐恩を待っている間

本当にずっと汐恩のことを考えていた

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隠し事が嫌いで、

言いたいことがあれば直球ストレート

不器用で

でも面倒見が良くて

人に心配をかけるのが嫌い

優しい

とにかく優しいの、

汐恩は。

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……そっか、…私は何で気づかなかったんだろう、

汐恩のこと、よく考えたら

答えは簡単だった

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今度はマスクをつけて、

寝室にゆっくりと入る

汐「だから今は近くに来んといてって」

「体調悪いんでしょ？何で言ってくれないの」

汐「…」

「恋人同士なんだから、もっと迷惑かけてよ

…私を頼ってよ」

汐「…ごめん」

「熱何度あるの？」

汐「38度2」

「何かお腹に入れなきゃ薬飲めないから…

食べれそうなものある？」

汐「……ラーメン」

えっ

「ラーメン？(笑)」

汐「…塩で」

…食欲はあるみたいでとりあえず安心した

乾麺をバリバリと割り入れ、食べやすい長さに茹でる

仰せの通りに塩味に仕上げて

「はい、これちゃんと食べて、

薬飲んで寝よ？」

汐「…ほんまごめん、

Aありがとな…」

てかなんでわかったん？

…汐恩が大好きだから、わかるよ

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