Luv Bias 〈完結〉

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「アイス買ってきたよー」

「……酔っぱらい」

へへーって笑いながら部屋に上がってくるニカ。

一緒に並んで座ってアイスを食べる。

私の好きなクッキー＆クリームをちゃんと買ってきてくれてる。

「あ！そいやさあ、うちの大学のミスキャンパスいるじゃん？水沢あいって子」

「ああ、ニカがかわいいかわいいって言ってた子」

「そそ、なんとうちのバイト先に来たんだよ！
来週から働くんだって」

「へえー……そうなんだ」

「今日面接に来てたんだけど、男みんなテンション上がって大変だったわ」

……ニカも？テンション上がった？

って本当は聞きたかったけど。

「うちのバイト先にもイケメン来ないかなあ」

なんて言ってしまう。

「来ねーだろ、花屋じゃん」

「花が好きなイケメンとか最高じゃん」

アイス食べたらニカがそのままソファでまるくなってる。

「シャワーあびたら？」

「んんー…あとで」

仕方なくブランケットをかけて、私はシャワーをあびに行った。


ニカに好きって言いたくなる時はもちろんある。

こうして家に二人でいると、くっつきたいな、とか思ったりもする。

でも、もし。

もし、拒否されたり、引かれたりしたら。

私とニカは、今みたいにくだらないことで笑いあったり、四六時中一緒にいることはきっとできなくなるだろう。

それを天秤にかけて迷ったあげく、私はいつもどおりの場所にもどる。

ニカの一番近くにいられる「女友達」の場所に。


シャワーから出ると、ニカはブランケットを蹴とばしてた。

「風邪引くよ」

そう言いながらブランケットをもう一度かけ直すと、ニカがねぼけて私の腕を引っ張って、気づけばニカの腕の中にいた。

「ちょっと、ニカ。こら」

ほっぺたすりすりしてくる。

別に私はいいんだけど、な。

このままでも。

なんて、思ってた私の耳に、ニカのとろん、とした声がつきささった。

「んー……あ…い？」

あ…い？

え？さっき言ってた水沢あい？

バカニカ！なんの夢見てんのよ！

ニカの腕から抜け出した私は、ブランケットを投げつけた。

だけどニカは幸せそうな顔して眠ってる。

もうやだ。ほんとやだ。


次の日起きたニカは、私の機嫌がMAX悪いことには気づいたようだけど、理由がわからずにとまどってた。

「今日さー」
「今日ずっとバイトだから帰って」
「あ、でも俺シャワーあびたいし、そんで」
「私もうバイト行くから。鍵ポスト入れといて」

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