歌い手生活【そらる】 (ページ13)

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空から龍ページ13

琉｢え…引退…？？｣

雪｢どういう事ですか…？？｣

俺と雪希は、突然のそらるさんの告白に動揺が隠せなかった。

そ｢まだ、まふまふにも言ってない。でも、Ryuくんだけには言おうと思って…｣

琉｢え…なんで…｣

まふまふさんにも言っているならまだしも、言っていないとなると話は別だ。

出会ってから間もない俺に話す理由が分からない。

そ｢…まふには、言ったら動揺しすぎて活動に支障が出るかもしれないからな。｣

それは、そらるさんなりの優しさなのだろう。

同じユニットで活動して、ずっと一緒にやってきた大切な相方には、信頼してるからこそ話せないのだろう。

琉｢でも、なんで俺なんですか？｣

そ｢Ryuくんに、良ければ俺のPCを使ってほしいんだ。｣

雪｢りゅうに…？｣

何故、俺にPCを使ってほいしいのだろうか？

PCは、そらるさんが今まで作ってきた歌や、歌ってきた歌がたくさん詰まっているはずだ。

琉｢まふまふさんじゃあ、駄目なんですか？｣

そ｢あぁ…駄目だ。まふだって、もう若い訳じゃない。俺は、りゅうくんみたいな期待できる子に、俺が作り上げてきた物を譲りたい。｣

琉｢期待できる子……｣

何よりその言葉が嬉しかった。

そ｢このPCには、俺の為に作ってもらった非公開の曲が入っているんだ。俺が歌いきれなかった曲を、りゅうくんに歌ってほしいと思った。｣

そらるさんの為に作ってもらった曲…
俺に歌ってほしいと思った…

そらるさんの引退は確かに悲しい。
でも、いつまでもそんな事にしがみついている暇はない。

そらるさんの名前を受け継ぐ…そんな気持ちでやらなくてはいけない大仕事だ。

そ｢アレンジしてもらったって、何してもらったって構わない。せっかく作ってもらった曲を無駄にはしたくない。だから、頼む！｣

琉｢…分かりました。俺が、このPCを…そらるさんの曲を受け継ぎます。｣

その言葉と共に、

そらるさんからPCを受け取った。