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「…岸くんだって、さっきの人に誘われてたじゃん、」
「え、いや、あの人は普通に仕事のひとっすよ、いま一緒に営業…」
「わたしたちだって、最初はそうだったのに、今こうなってるんだよ？」
「いや俺とあの人はまじでそういうんじゃないから…！」
「じゃあわたしと酒井さんだって一緒だよ、ただの＿＿」
「いっしょ…！？Aさんそれマジで、ほんとにそう思ってるの？」
だとしたらおかしいよ、そう言うみたいに。
岸くんの声が全身に刺さる。
さっき霧を払ってくれたのはまぎれもなく、岸くんの言葉なのに。
今はそれに傷口を抉られて、頭に血がのぼっていく。
「思ってるよ、だって…岸くんにとって彼女は“普通に仕事のひと”なんでしょ？ わたしと酒井さんだって、そうだよ、」
ちがう、こんなことが言いたいんじゃない
「Aさんにとってはそうでも、向こうもそうとは限んないでしょ…！あの人はっ…」
「それは岸くんと彼女だって一緒だよ…！」
ちがうのに、
こんなこと言いたくないのに
わたしはただ、岸くんが、
「俺の“彼女”はAさんひとりだけじゃん、あの人と俺を一括りにすんのは、なんか…変だよ、」
「…っ…じゃあわたしの考えてることなんて、分かんないよ岸くんには」
ただ、好きなだけなのに
これ以上、変わっていきたくないのに
開いてしまった傷口から、血がでるようにじわりと後悔が溢れてくる。
でも言ってしまった言葉を取り消すことはできない。
もう逃げたい、こんな自分から
「っ….、」
「Aさん…？」
財布から大きなお札をとってテーブルに置く。
手が震えて、当たったナイフがお皿から落ちた。
「…っ、」
「Aさん待って、どこ行くの」
「っ…、かえる、」
じわじわと浮かんでこようとする涙を手で乱暴に擦って、席を立った。
「Aさん…！」
背中に当たる岸くんの声を聞くのはその日2度目だった。
とにかく逃げだしたくて、出口に急ぐ。
押し切るように扉を開けたら、外はひどい雨だった。
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くう(プロフ) - 最高です！ (2019年12月5日 23時) (
レス) id: e22c604d4b (このIDを非表示/違反報告)
kcnam(プロフ) - ステキです。もぅドキドキでその先もきになります(^^) (2019年4月15日 14時) (レス) id: 3a92bf89c4 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - どのストーリーも、キュンキュンです。このまま、結婚へ繋がるのでしょうか？もっと続きが読んでみたいと思いました。よろしくお願いします。 (2019年3月28日 8時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
あられ - ヤバイ！(;゜0゜)めちゃめちゃ面白い！！岸くんカッコいい( ☆∀☆)これからも頑張って下さい♪ (2019年3月23日 8時) (レス) id: 1f2316b085 (このIDを非表示/違反報告)
琉叶(プロフ) - しろさん» しろさま、コメントありがとうございます！一気読みしてくださったとのことで光栄です、！あとがきまで丁寧に読んでくださり…しろさまのメッセージにも、岸くんや作品への愛が溢れております。次作でもぜひぜひお会いできるのを楽しみにしております、！ (2019年3月19日 2時) (レス) id: 2350b99a22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琉叶 | 作成日時：2019年3月12日 1時
