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12月  日。 ページ32

気が付くと、Aは自分の家にいた。見慣れた天井と、愛する彼が見えた。

「A……!」

嬉しそうな顔をして、彼はAに抱きついた。

「わっ……どうしたの……あっ、そうだ……時間……!」

Aは慌ててスマホを見た。時刻は二十三時五十八分。慌てる彼女を見て、轟はなだめるように言った。

「安心しろ。お前が今日死ぬことはない。たぶん」

「たぶんって……」

「冗談だ。Aの爺さんによると、その個性の効果が切れた時、淡い光に包まれたらしい。俺はその光を見た」

Aは安心したように胸をなでおろした。轟が「なぁ」と言った。

「実は、この個性を解除するのにはかなりの条件が必要になるらしい……。綺麗な月の光、良い天候、お互いが強く生きたい、生きて欲しいと願うこと。そして……心から愛する人と、結ばれていること」

なぁ、と話を続ける。

「ここまで条件がそろうのはまれなことだと思ってる。なぁ、これって運命ってやつじゃないのか?」

真剣な顔をして彼が言うと、Aは笑った。心から、楽しそうに。

「何かおかしいか?」

「ふふふ、だって、焦凍くんが真剣な顔で運命っていうんだもん」

少し照れくさそうに轟は頬を掻いた。



すると、鐘の音が聞こえた。除夜の鐘だった。

「本当に、解けたんだ……」

「A」

嬉しそうな顔をしているAにそう呼びかける。
「何?」――彼女がそう言葉を発する前に、轟は軽く唇にキスをした。



「あけまして、おめでとう。今年も、来年も、これから先もよろしくな」


「……うん」







除夜の鐘が、そんな二人を祝福するかのようになり続ける。






今日は、一月一日。


十二月は、終わった。

あとがき→←12月31日。



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夜桜瑠奈(プロフ) - ナイトメアさん» ありがとうございます!素敵でしたか……よかったです( *´艸`)私もこういうほのぼのした雰囲気が好きなので、そう言っていただけるととても嬉しいです!閲覧ありがとうございました!よい年を過ごしましょうね! (2018年1月4日 20時) (レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)
ナイトメア(プロフ) - 完結お疲れ様でした!!サラッと読んだだけなので、特にコメントも何もしていませんが!とっても!素晴らしかったです!やっぱり、いいですね、こういうのは…!素敵です!!これからも頑張ってください!応援してます!!良いお年を! (2018年1月4日 20時) (レス) id: bdeef1bdf0 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜瑠奈(プロフ) - かぁびぃ(駄作者)さん» ご愛読ありがとうございました!いつもご感想をありがとうござます!大変励みになります……!恋人らしくなっていく様子は何とか書くことが出来ましたが、やはり〆が……(笑)こちらこそ、来年もよろしくお願いいたします!m(__)m (2017年12月31日 21時) (レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 完結お疲れ様でした!今回も非常に丁寧な仕上がりで、またぴしっと完結まで出来て本当に凄いなあと思います!どんどん恋人らしくなっていく二人に、胸がきゅんきゅんしました!素敵な作品をありがとうございます!▼そして、来年もよろしくお願いします。良いお年を!! (2017年12月31日 21時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜瑠奈(プロフ) - 雷光さん» すみません……!お答えしたいのは山々なんですが、少しリクエストにはお答えしにくい小説の書き方をしているので……申し訳ありませんが、お断りさせていただきます……m(__)m (2017年12月30日 22時) (レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜芽杏 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2017年12月1日 17時

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