１２月２１日。 ページ21
Aは一人、いつものカフェに来ていた。平日の昼三時頃、年寄りの人が数人いたくらいだった。チラチラと腕時計を確認しながら、ゆらゆらと湯気が立つミルクティーを飲んでいた。
しばらくすると、いつもの彼の姿が見えた。少しだけ鼻を赤くして、さっきまで走っていたのか乱れたマフラーを取り外しながらAの前の席に座った。
「悪い、待ったか？」
「うんうん、全然。焦凍くん、今日懇談だったんでしょう？」
「ああ……ちょっと長くなってな」
注文を承りにきた店員にブラックコーヒーを注文すると、ついでにAはショートケーキを注文する。店員が下がった後、Aははにかみながら轟にこう言った。
「ここのショートケーキ、すっごい美味しいんだ。前も頼もうかと思ってたんだけど、なんか緊張して頼めなかったの」
前、と言うのは初めてデートした時だと、轟はすぐに分かった。そのあと、Aは
「コーヒーもあんまり飲まないんだけど、あの時は一緒のを選んだほうがいいのかなって思って無理やり飲んでたの」
とも白状した。恥ずかしそうにそう話すAを見て、少し嬉しそうに「そうだったのか」と笑った。
「お待たせしました。ブラックコーヒーとショートケーキになります」
静かに置かれたショートケーキを、飛びつくようにしてAは自分の前に置いた。
美味しそうにケーキを食べ始めると、轟は一度コーヒーを飲んでから改めるようにして話を始めた。
「前にも言ったが、俺はエンデヴァーの息子だ」
「うん」
「アイツは、自分勝手だし強い奴以外には興味がない。正直言って、女もただの個性を強化するものだとしか思っていない」
うつむいたまま轟は話を続ける。
「だから、Aと付き合ってることは言ってないし、許されるわけないと思ってる。それでも……それでもAは俺と一緒にいてくれるの……ぷっ」
轟が顔を上げると、鼻にクリームをつけたまま真剣な顔をして話を聞くAの姿が合った。そんな姿に、思わず轟は大事な話の途中で吹いてしまった。
「えっ何々」
笑ったまま轟は静かにクリームを取ると、Aは恥ずかしそうに笑った。
「ご、ごめん！ 真剣な話の途中だったのに……！」
ツボってしまったのか、笑いながら轟は言葉を返す。
「い、いや、いい。やっぱり、ふふ、明るい雰囲気の方がAにはあってる、ははは」
ふぅ、と呼吸を整え、一言。
「これからも、ずっと一緒にいてくれ」
「……いれたら、いいね」
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夜桜瑠奈(プロフ) - ナイトメアさん» ありがとうございます！素敵でしたか……よかったです( *´艸｀)私もこういうほのぼのした雰囲気が好きなので、そう言っていただけるととても嬉しいです！閲覧ありがとうございました！よい年を過ごしましょうね！ (2018年1月4日 20時) (
レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)
ナイトメア(プロフ) - 完結お疲れ様でした！！サラッと読んだだけなので、特にコメントも何もしていませんが！とっても！素晴らしかったです！やっぱり、いいですね、こういうのは…！素敵です！！これからも頑張ってください！応援してます！！良いお年を！ (2018年1月4日 20時) (レス) id: bdeef1bdf0 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜瑠奈(プロフ) - かぁびぃ(駄作者)さん» ご愛読ありがとうございました！いつもご感想をありがとうござます！大変励みになります……！恋人らしくなっていく様子は何とか書くことが出来ましたが、やはり〆が……(笑)こちらこそ、来年もよろしくお願いいたします！m(__)m (2017年12月31日 21時) (レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 完結お疲れ様でした！今回も非常に丁寧な仕上がりで、またぴしっと完結まで出来て本当に凄いなあと思います！どんどん恋人らしくなっていく二人に、胸がきゅんきゅんしました！素敵な作品をありがとうございます！▼そして、来年もよろしくお願いします。良いお年を！！ (2017年12月31日 21時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜瑠奈(プロフ) - 雷光さん» すみません……！お答えしたいのは山々なんですが、少しリクエストにはお答えしにくい小説の書き方をしているので……申し訳ありませんが、お断りさせていただきます……m(__)m (2017年12月30日 22時) (レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)
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