１２月２０日。 ページ20
今日は一年に一度、学年で行われる男女別の球技大会だった。受験生なのに、という声も少なからず上がったが、たまには体を動かして気分転換をという理由で決行された。
最初はやる気のない人が多く、どんよりとした雰囲気だった。だが、いざ球技大会が始まるとやる気のなかった生徒たちも機敏に動き始め、声を張って声援を送っていた。
女子はドッチボールだった。強く速い球を投げる者もいれば、スッと素早くボールをかわす者もいた。Aはどちらでもなく、コソコソと動き回っては簡単に当たってしまう者だった。そのためか、終始「もう嫌」と嘆いていた。
結果はAのクラスは最下位。そんな結果を気にする様子もなく、女子生徒たちはグラウンドへ走りだした。
***
男子はサッカーだった。女子たちが外に出た頃には最終決戦だった。そこには、Aがさりげなく探していた轟の姿もあった。
「AA〜！ 轟くんいるよ〜！」
「わ、わかってるよ……」
軽やかにパスを出しては、味方からのパスをしっかり受け止めて華麗なシュートを決めていた。そんな姿に見惚れていると、轟と目が合った。
すると轟の方から軽く手を振ってくる。Aは少し嬉しそうに手を振り返した。
轟の周りにいた男子がからかうように轟をつつくと、そんなことを気にする様子もなく轟は元のポジションへついた。
(焦凍くんは強いな)
そうAは感じた。
笛の音が鳴り、試合終了の合図。どうやら引き分けだったようで、ＰＫが始まった。最初はサッカー部の一人が蹴った。黄色い女子の歓声が上がったが、キーパーにボールを止められ静まった。
二回目、三回目と同じように黄色い歓声が上がった。二人目、三人目とシュートを決めた。四回目のＰＫはサッカー部部長で、前の人たちよりも大きく歓声が上がった。が、あっけなく外した。
勝敗を決める、最後の一人は轟だった。サッカー部ではなかったが、サッカー部長並みの技術があるとAは聞いていた。
軽く足をボールになじませ、助走をつけるために轟は少し離れる。走りだす前、一度だけAに目を合わせた。
一瞬だけ、余裕そうにふっと笑って見せると、真剣な顔になって走りだしボールを蹴った。見事に決まった。轟のクラスの男子が轟の周りに集まって嬉しそうに話し合っていた。
Aは今日一日、あの余裕の笑みを零す轟の顔が頭から離れなかった。
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夜桜瑠奈(プロフ) - ナイトメアさん» ありがとうございます！素敵でしたか……よかったです( *´艸｀)私もこういうほのぼのした雰囲気が好きなので、そう言っていただけるととても嬉しいです！閲覧ありがとうございました！よい年を過ごしましょうね！ (2018年1月4日 20時) (
レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)
ナイトメア(プロフ) - 完結お疲れ様でした！！サラッと読んだだけなので、特にコメントも何もしていませんが！とっても！素晴らしかったです！やっぱり、いいですね、こういうのは…！素敵です！！これからも頑張ってください！応援してます！！良いお年を！ (2018年1月4日 20時) (レス) id: bdeef1bdf0 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜瑠奈(プロフ) - かぁびぃ(駄作者)さん» ご愛読ありがとうございました！いつもご感想をありがとうござます！大変励みになります……！恋人らしくなっていく様子は何とか書くことが出来ましたが、やはり〆が……(笑)こちらこそ、来年もよろしくお願いいたします！m(__)m (2017年12月31日 21時) (レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 完結お疲れ様でした！今回も非常に丁寧な仕上がりで、またぴしっと完結まで出来て本当に凄いなあと思います！どんどん恋人らしくなっていく二人に、胸がきゅんきゅんしました！素敵な作品をありがとうございます！▼そして、来年もよろしくお願いします。良いお年を！！ (2017年12月31日 21時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜瑠奈(プロフ) - 雷光さん» すみません……！お答えしたいのは山々なんですが、少しリクエストにはお答えしにくい小説の書き方をしているので……申し訳ありませんが、お断りさせていただきます……m(__)m (2017年12月30日 22時) (レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)
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