１２月１６日。 ページ16
「わぁ、遊園地だぁ……！」
目を輝かせながらAが言うと、微笑んで轟がエスコートする。
「人が多いからな。気を付けろ」
そう言って轟はAの手首をつかんだ。Aは少し悩んだ後「焦凍くん」と言って顔を合わせる。
「こっちじゃ、ダメかな」
Aは轟の手を自分の手首から一度離し、そのあと指同士を絡ませるようにして手を繋いだ。少し驚いたように轟はAを見る。少し上目遣いで、可愛らしく笑っていた。
「……ああ、いいぞ」
そんな彼女の様子を見て、嬉しそうに轟は微笑み返した。
***
二人は基本手を繋いだまま園内を回った。
ジェットコースターでは、案外動じないAを見て驚いた。
お化け屋敷ではAを守ろうと、驚かせ役の人を反射的に個性を使い凍らせてしまい、注意された。そんな様子を見て、少しAは照れながらも笑ってしまった。
「焦凍くん、クレープの生クリームここについてるよ」
「ん？ ……本当だ、悪いな」
「あ、鼻にも」
そんなやり取りをしている二人は幸せそうで、楽しそうだった。
***
「もう結構回ったね〜」
「そうだな」
日が徐々に橙色に変わっていく時間帯、Aはとある建造物に指を指した。
「最後に観覧車、乗らない？」
当たり前のように轟は頷いた。
少し列に並んでから観覧車に乗り込む。密室の中で二人っきりだったが、二人はそれほど緊張していなかった。それほど二人は親密な関係になっていた。
「そういえば、Aの個性ってなんなんだ？」
轟がそう言葉を発した瞬間、Aは顔を歪ませた。が、すぐに笑ったような顔に変える。
「ごめんね、ちょっと言いたくないんだ。でも、全然強くないよ。焦凍くんがうらやましい」
ガタン、と観覧車が揺れた。轟の疑問を掻き消してしまうには十分すぎた。
「……そうか、悪かったな」
「轟くんは悪くないよ」いつも通り、けれどどこか悲しそうに笑った。轟はその表情の変化に気付いていた。気づいていたうえで、聞かなかった。
「あ、もうすぐてっぺんだね」
沈んでいく夕日を見ながらAは言った。轟は少し間をあけて返事した。
「A」
轟がそう呼びかけながらAの手を取った。「何？」そう聞く間もなく、轟は手の甲に静かにキスを落とした。
それに気づいて「手の甲にキスされた」と理解するころには観覧車はてっぺんを過ぎていた。
「これからも、ずっと一緒にいてくれ」
轟は顔を真っ赤にするAに、顔を綻ばせた。
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夜桜瑠奈(プロフ) - ナイトメアさん» ありがとうございます！素敵でしたか……よかったです( *´艸｀)私もこういうほのぼのした雰囲気が好きなので、そう言っていただけるととても嬉しいです！閲覧ありがとうございました！よい年を過ごしましょうね！ (2018年1月4日 20時) (
レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)
ナイトメア(プロフ) - 完結お疲れ様でした！！サラッと読んだだけなので、特にコメントも何もしていませんが！とっても！素晴らしかったです！やっぱり、いいですね、こういうのは…！素敵です！！これからも頑張ってください！応援してます！！良いお年を！ (2018年1月4日 20時) (レス) id: bdeef1bdf0 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜瑠奈(プロフ) - かぁびぃ(駄作者)さん» ご愛読ありがとうございました！いつもご感想をありがとうござます！大変励みになります……！恋人らしくなっていく様子は何とか書くことが出来ましたが、やはり〆が……(笑)こちらこそ、来年もよろしくお願いいたします！m(__)m (2017年12月31日 21時) (レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 完結お疲れ様でした！今回も非常に丁寧な仕上がりで、またぴしっと完結まで出来て本当に凄いなあと思います！どんどん恋人らしくなっていく二人に、胸がきゅんきゅんしました！素敵な作品をありがとうございます！▼そして、来年もよろしくお願いします。良いお年を！！ (2017年12月31日 21時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜瑠奈(プロフ) - 雷光さん» すみません……！お答えしたいのは山々なんですが、少しリクエストにはお答えしにくい小説の書き方をしているので……申し訳ありませんが、お断りさせていただきます……m(__)m (2017年12月30日 22時) (レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)
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