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「私の術式は、まず人の呪力を自らの呪力にするものがある」
Aは術式の開示を行っていることに3人はすぐ気がついた。
呪霊は塞がれるのを分かっていたようにニタリと笑いながらその腕を刃物に変化させた。Aはその変化よりも早く離れ、顔面に蹴りを入れようとした。
「だから私の使う術は残穢が残らない。正確に言えば残るけど、誰のものか特定ができない。私の呪力は、不特定多数の呪いの力だからね」
その足を掴み、呪霊はAを地面に叩きつけた。衝撃波により地面は崩れるが、Aにまるでダメージは入っていない。
「私は五感のすべての機能を失うという縛りの上、さっき言った呪力を自らのものにするという力を増幅させた。ついでに、第六感っていう力も覚醒した。そこはあんまり」
自分の足を持っていた呪霊の腕を掴み、握りつぶす。
「知らないけどねっ！」
そこから全身に伝うようにして呪霊の体が崩れていく。それに気づいた呪霊は急いでその腕を切り落とした後、すぐに再生する。
「第六感はね、もともとうちの家系にはなかった。というかそもそも、五感に関する術式を全て使える人なんていなかった。この術式は意外と呪力を使うからな」
ゆらり、と起き上がる。
「そして──」
Aが地面から立ち上がった瞬間、Aの上半身と下半身が離れた。
遅れて3人はAが呪霊の刃物により体が切断されていたことに気づく。Aの下半身の繋ぎ目からは血が空を舞うようにして流れ続けていた。
「先輩ッ！！」
ケタケタと呪霊は大きく笑った。
動き出そうとする虎杖を伏黒は止める。その表情に少しの焦りを見せていた。
「動くな、って言われてるだろっ……」
「でも……！！」
呪霊は手に付着していたAの血を舐めながら、ゆっくりと3人に近寄る。見てすぐにわかるほど、呪霊は楽しそうな様相だった。
「──五感がない、ってのは便利でね」
3人が瞬きしている間に、Aは呪霊の大きな首を持って、3人の目の前に立っていた。
「あ、A先輩……！！」
嬉しそうにAを呼ぶ虎杖と、安心したように息を着く伏黒と釘崎。ボロリとその頭を投げ捨てている間に、呪霊は頭を再生していた。
「悠仁って意外とピュアだからさ、私が裸でうろつき回ると照れちゃうんだ。だから服を回収しないといけないんだよ、遅くて悪かったな」
いつかの日を思い出しながら、Aは血にまみれた服を呪霊に見せつけていた。
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作者名：桜芽杏 | 作成日時：2021年1月11日 20時
