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「Aさんその腕……!!」

伏黒はふらりと立ち上がる。虎杖はバッと勢いでAの前に出ようとし、釘崎も同じタイミングで行動を起こそうとするが、「恵、悠仁、野薔薇ちゃん」と落ち着いたAの声でその場にとどまった。


「大丈夫」


ぐにゃり、とAの右腕はいつの間にか再生していた。服もないさらけ出された右腕のまま、Aは笑いかけながら虎杖の頭に手を置いた。


「私が引率していたのはさっきの奴らだけ。コレは完全に別件だ。多分、この前私が海外へ調査に行った時に追いかけてきたやつだろう」

ゆらりと呪霊が姿を見せる。全身が刃物のような、鋭利な武器の形状をしたものが刺さっている様態の呪霊はケタケタと楽しそうに笑っている。

「3人はここから絶対に動かないで、分かったな?」

3人は強く頷いた。

(怯えてはいるものの、呪力は安定しているし落ち着いている。この子らは大丈夫だな、今回の一件でより強くなれたし)

パッ、とAは姿を消したかのような動きで呪霊の背後をとる。呪霊もすぐに対応し、Aの蹴りを受け止めた。



「せっかくだ!珍しい私の戦闘シーンでも見せてやる!」



声をはりあげてどことなくAは楽しそうに次の攻撃へと切り替える。

蹴りを止めた腕を持ち、宙で1回転するとその腕は引きちぎられる。動揺したように鳴き声を上げる呪霊を続けざまに目の部位に拳を振った。

呪霊は焦ったようにAの背後をとると体のいくつかの刃物をAではなく3人の方へ噴射した。


(おいおい、そりゃ卑怯だろ)
「"纏繞(てんじょう)"」


すべての指同士を合わせると、3人を囲むようにして呪力によって出来た人間の手によって攻撃は弾かれた。
その手はAの背から生えるようにしても現れ、Aの5倍以上はあるその体格の呪霊を縛り付けあげた。


ふぅ、と汗一つかかないままAは3人の前へ戻る。

「ここまで見られたらもういいかな……悠仁、恵、野薔薇ちゃん」

3人に振り返りながらAは悪戯に笑みを浮かべる。


「これから言うこと、皆には秘密にできるか?」


人差し指を立てるAに、3人はまた強く頷いた。

「もちろん!」
「はい」
「分かったわよ!」


「元気があってよろしいな」



呪霊はAの術式を力ずくで解く。Aに拳を振り下ろすが、Aは片手でその攻撃を塞いだ。

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作者名:桜芽杏 | 作成日時:2021年1月11日 20時

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