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「お疲れ様。誰か死にそうな人いる？」
「大丈夫ー！元気だぜ！」
「あと2、３体くらいなら祓えるわよ」
グッと力こぶを作るような格好をする二人を見てAは目を細めながら「そりゃ心強い」と積み上げていた石を崩した。
「てか、その伏黒……」
2人は青ざめた表情で伏黒を見たが、直ぐに「おっ、戻ったか」と起き上がった。
「よかった、無事で」
「ビビったーっ！！死んでんのかと思ったー！！」
「声量落としてくれ……頭痛い」
ヨカッターッ！と虎杖と釘崎は手を合わせて驚きながらも、すぐに冷静な表情に戻った。
「宿儺の指持って寝こけるなよ、危ねぇな」
確かに、と軽く頷くAの隣で「なんで指のこと知ってんだよ」と横目で釘崎を見た。
「それ聞く余裕ある？」
「ねぇ」
「とりあえず新田さんに連絡して応急で封印してもらわねぇと、呪霊が寄る」
Aは伏黒の手から指を取り上げて「私がしようか？」と聞いた。
「え、Aさんそんな技術持ってるんですか」
「まぁ一応。封印とはいえ、気休め程度だけどね」
「あっそうた、俺食べようか？」
隣で虎杖は呑気な顔をして言うが、「残飯じゃねーんだよ」と釘崎は気が立ったように返した。
「オマエの指の許容量はハッキリ分かってねぇんだ、食うな」
「私食べてみようかな」
あーん、とAは口を広げてその素振りを見せると、3人は全力で焦ったよう表情をして止めにかかろうとした。
「冗談だよ」と困ったように眉をひそめながらその素振りを止める。
伏黒は溜息をつきながら、
「虎杖に渡してください、貴女が持っていると何しでかすか分からないので」
「わーったよ、食わねぇって……」
と虎杖に渡す。「念を押すが食うなよ」と言っている間に、虎杖の手のひらから口が現れて指を捕食した。
「食うなっつったろ！」
釘崎と伏黒の声が重なる。
「え、俺ェ！？」
(なるほど、意外と宿儺は自由に動けるんだな……こりゃめんどうだ)
虎杖たちがそんなことで言い争っている中、Aは真っ先にその異変に気づく。
刹那、Aの右腕が飛んだ。
3人はその間、動けずにいた。いつの間にかAは3人の前で腕を広げ、庇うようにして立っていた。
3人の足元には服ごと切り落とされたAの腕がドロドロと血を流しながら転がっていた。
「嘘……でしょ……」
釘崎の口から言葉が漏れる。すでにその場所は川岸ではない、呪霊による領域内であった。
「特級……君、日本のやつじゃないな」
Aは溜息混じりに呟きながら、その目を呪霊に向けた。
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作者名：桜芽杏 | 作成日時：2021年1月11日 20時
