検索窓
今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:19,347 hit

3 ページ3

「って、あれ?アンタが五条先生が言ってた呪術師の人?」

ぬいぐるみを抱きしめたまま、平然とした表情でAの方を向いた。

純粋無垢な少年、その中に秘めるのは膨大な呪いの塊。

(……私と似てる人、ってのはあながち間違いじゃないのか)


「Aだよ。呪術師という名目ではあるけど、実際はそんなに呪術師っぽいことしてないから」

テレビに映されているのは映画。そして机上に置かれている何本もの映画ディスク。
その様子を見て、彼がまだ呪力コントロールを出来ていないことを理解し、Aはどさりとソファの端に座った。

「まぁ監視役みたいなもんだから、気にせずどーぞ」
「お、おう……」

虎杖はその隣に少し間を置いて座る。数秒もすれば、意識は完全に映画の方へと変わっていた。

(集中力がすごいな。というか身体能力が異常に高いけど、そもそも人間か?この子)

しかし5分も経たないうちに、虎杖はまたぬいぐるみに殴り飛ばされる。

「もうっ!!いいじゃん!心の中でクスってなっただけだよ!?クスって!!」

エアボクシングをするぬいぐるみにまた指をさしながらキレ散らかす虎杖を横目に、Aは動かないままでいた。




「あの、聞いていい?」

映画の途中、虎杖は控えめな声の調子でAに目を向けた。

「質問による」
「A、さんって、いくつ?」
「19」
「19!?俺とタメか1つ下くらいだと思ってた……」
「どこ見て言ってんだよ。童顔なだけで決めつけんな」

身長は170センチちょいだからな、と補足するように呟く。

「でも、タバコ吸ってるよね」

Aは何も言わなかった。ただゆっくりと虎杖の方へ目を向ける。初めて虎杖と目線が交わった。

「だから?」
「アンタが自分のこと、どう思ってるか分からないけどさ……その歳で吸うのはやめた方がいいよ」

寂しそうに虎杖は言うが、Aは一層顔を強ばらせる。映画のシーンがクライマックスへと盛り上がっていた。

「すごいね君、他人のことをそんなに思えるんだ」
「別に、そうじゃないよ」

その寂しさを隠すように歯を見せて笑った。罪悪感を抱え、Aから目を逸らし何かを思い出しているようだった。

「俺さ、じいちゃんの遺言で呪術師になろうって決めて……でも、結局は自分のために人を助けようと思ってたんだ」


Aの瞳孔が揺らぐ。


「学長にも言っちゃったんだけどさ、生き様で後悔はしたくないんだ」

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
14人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 最強夢主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:桜芽杏 | 作成日時:2021年1月11日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。