7輪 ページ7
(なんで俺、会って数時間しか経ってない人と連絡先交換してまた会おうとしてるんだ。受験生だってのに)
そういや、と彼女の顔を思い出す。著名人であればネットに載っているのでは、と彼女の名を興味本位で検索する。
【愛園Aの本名は？趣味は？学歴は？恋人は？】
(絶対出てくるよな、こういうまとめサイト)
わざとらしいタイトルから目を逸らし、上から3つ目のWebページをタップする。
『愛園Aは本名(他にも愛園さんは複数人存在するので、ファンからはAさんと呼ばれている)』
『どうやら雄英高校三年らしい？』
「雄英生……？」
思わず口に出してしまい、下へスクロールをしていく。
『恋人がいるという噂がある』
恋人がいるのに、どうして俺にここまで関わるのだろうか。ネット上の情報であるため、深くは信用していなかった。それでも胸の奥には薄気味の悪い煙がたつ。
(……ネットに載ってる写真、どれも少女みたいな写真ばっかりだ。実際に会った時のクールさとは無縁だな)
変装がうまいのだろうか。プライベートについては恋人がいる、くらいの情報しか無かった。
数分そのサイトを開けた後、心操はスマホの画面を消し、そのまま部屋を出た。
土曜日の昼。集合時間の5分前、カフェの前にはAが既に立っていた。
「おっ！やっほー！」
「本当にバレてないんですね」
その日はグレーのキャップを被っていた。服装も依然変わらず、夏の始まりにふさわしい半袖にハーフパンツのものだ。
「まぁね、さ、入って入って」
店の中へ入り、すぐさま奥の方のテーブル席へ座る。2人が席に着くと、見計らっていたように「いらっしゃいませ」と、若い女性のウェイトレスが水の滴るグラスを持ってくる。
「ん、ありがとう。私はいつものカツサンドとタマゴサンドにランチセットで。人使くんもそこから好きなの何でも頼んで、追加注文できるし」
「え？」
「もちろん奢るから」
キャップを外し、にまりと満面の笑みをうかべる。
「もう、Aさんったら。すぐにキャップは外さない方がいいですよ」
「はは、確かにね！いつも角部屋の確保ありがとう」
Aがキャップを被り直すのを横目に、ウェイトレスは戸惑いながらメニューに目を向ける心操に声をかけた。
「当店ではカツサンドが人気メニューとなっております。ランチメニューだとお飲み物とデザートがセットになっていますよ」
心底からの笑みを見て、心操は口ごもりながら「それでお願いします」と答える。
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桜芽杏(プロフ) - にょるとさん» 閲覧ありがとうございました！ピアノの曲のようなお話、と言っていただき、私の作品への思いと夢主たちの物語にこもった気持ちが伝わっているのがわかり、とても嬉しいです。こちらこそわざわざコメントまでありがとうございました！ (2021年9月12日 11時) (
レス) id: 4e2ed4ed51 (このIDを非表示/違反報告)
にょると(プロフ) - 本当に本当に素晴らしいピアノの曲のようなお話でした…！！素晴らしい作品をありがとうございます！ (2021年9月12日 3時) (レス) id: 4a7d856f5b (このIDを非表示/違反報告)
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