さんじゅうい〜ち ページ31
少しくすんだ桃色の浴衣に優雅な白い金魚の絵柄の着物を身にまとったAが、駆け足でホークスに向かう。
「着付けに手間取っちゃいまして……って、言い訳なら許して貰えますかね？」
いつも履いている厚底ブーツではなく下駄を履いていたため、自然と上目遣いをされた。ホークスは戸惑いながら目線をそらす。
「えっ、あーうん、大丈夫だよ」
「お詫びになにか奢ります〜！ささ、行きましょう！」
楽しそうに屋台が並ぶ道へと進んでいくA。ホークスはふと彼女の方を見ると、結い上げられた髪からあらわに現れていたうなじが目に入る。
「わっ……」
思わず声に出てしまい、急いでAの後を追う。
「啓悟くん、意外と見られませんね〜、そんなに大きな羽があるのに」
「……そう、だね。多分みんな祭りごとの方に集中してるんだと思う」
声の調子がおかしい事に気付き、Aは不思議そうにホークスの顔を覗き込む。
「どうかしました？調子、よくありませんか？」
心配そうなAの表情を見て、言葉を詰まらせる。取り繕ったように笑うと、
「いやー、さ。セクハラとかそういうの考えて……言おうか迷ってたんだけどね……
Aがさ、着物似合っとって、ばり可愛いって思って」
髪型とか、うなじとか。
増え始めた人混みにかき消されてしまいそうな小さな声で、はにかみながらAに笑いかける。
顔どこか、足のつま先から全身熱が伝わっていくのが感じれる。内心「なんてことを言ってしまったんだ」と思いながらも、Aに下手に嘘をつきたくないという気持ちが働いた。
「……実はその言葉、待ってたって言ったら怒る？」
ニッと歯を見せながらいたずらに笑う。
「嬉しいよ。ありがとう、啓悟くん」
少し自分のうなじを触った後、ホークスの手首を掴んで小走りで道を進み始めた。
「ささっ、早く回りましょ！わたあめは奥の方の屋台にあるので、先に焼きそばとか食べましょ！」
Aは顔を見せないように前を向いた。
ホークスは気づく。いつもと同じように振る舞うAの耳が、赤くなっていたことに。
きっと並べられている提灯の明かりの色だろう。そうも思ったが、少し照れてくれていた方が思ったことを口に出したかいがある。
そう思い込んで、ホークスは「屋台は逃げないよ」とAに声をかけた。
人混みが増えていく。1人の少女が、彼らを見ていた。
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桜芽杏(プロフ) - えだまめさん» ひぇ〜嬉しい……！！ありがとうございます！！実はガチの趣味で書いていた物をその場のノリで載せ始めたので、こうして好きと思われて読んでくださることにとても喜びを感じます……！クライマックスも近いですが、どうぞ最後までお付き合い下さい！！ (2020年4月18日 18時) (
レス) id: 4e2ed4ed51 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - 好き…………好きです…………ちょっと不器用なホークスも可愛いのにカッコイイ夢主も雰囲気が独特なお兄さんもそれぞれを表現している桜芽杏さんの透明感のある文章も全て好きです応援しています…… (2020年4月17日 21時) (レス) id: 4f7195255d (このIDを非表示/違反報告)
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